2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧
ドワーフとホビットらによる故郷奪還の旅、あるいは神々の黄昏から生き残ったものたちとライン川から蘇った指環の物語。(直接的なつながりはないが、一九世紀から二十世紀前半に書かれた”欲望を支配する指環”の物語とあれを結びつけるなという方が無理だ) …
ハーゲンの謀略によって記憶を失ったジークフリートと呆けた彼によってグンターに差し出された妻ブリュンヒルデの悲劇。 四夜のうち最も悲劇的、運命論的な作品だ。世界を知るために妻ブリュンヒルデのもとを発ったジークフリートはギービヒ家の悪漢ハーゲン…
魔物を煮たり焼いたり食べたりするRPGグルメマンガの三冊目。相変わらず、剣と魔法の世界を料理(という科学)をもって引っ掻き回すのが良い。 苦労して倒した巨大イカを尻目に体内を這いずりまわっていた寄生虫を蒲焼きにして食べたり、食草の皮を向いて食…
剣と魔法の世界の料理本かと思いきや、今回も鼻行類に似た魔界生態研究報告だった。ゴーレム畑(自律警備システムを搭載)とかもう青背の発想。 ダンジョン飯 2巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ)) 作者: 九井諒子 出版社/メーカー: KADOKAWA / …
魔物を煮たり焼いたり食べたりするRPG料理本。宿や屋台を食べ歩くような所謂グルメ本というより魔物をつかった思考実験、作風は鼻行類に近い。魔物の筋の入り方を分析して倒し方、捌き方を研究したり解剖図で部位を示して適した調理法を模索したりとひとつひ…
中流生まれのオックスフォード卒、日米で特派員として活躍した経歴を持つイギリス人による英国文化レポート。ユニオンジャックに封じられたアイルランドのセント・パトリック・クロス、労働者の味方を演じるために名門校の服装を隠そうとする政治家、母語で…
第一夜で神々に追い詰められたジークムント、ジークリンデの残した子ジークフリートの英雄譚、彼と神々を裏切ったブリュンヒルデが交わる物語。権力から解き放たれたふたつの血が交わり、いよいよ北欧神話と伝説が交錯する。 この第二夜にはクロスオーバー作…
古代ライン川のほとりに生まれたシグルドが、近世のニーベルングの指環のジークフリートとして活躍するまでを時代毎のあらすじ、造形を比較しながら追跡している本。鍛冶屋の息子として育ち、竜を殺して英雄となったフランクリン時代(記録は諸事情で散逸)…
血の復讐編。前編の見せかけの和解がじわじわと事態を悪化させていく。クリムヒルトは改心に見せかけてエッツェルと結婚し新たに従えた部下で復讐を企て、グンテルは和解したのだからと呑気に国へとはいる。(デンマークやブリュンヒルトの問題解決策をすべ…
前編の魅力はなんといっても武人の迫力、忠誠心の力強さにあるだろう。国のすべてを奪い取るととんでもない宣言をしながら現れるジークフリトとその迫力に魅了されるグンテル王、そこで結ばれた男同士の絆によって成されるデンマルク征服、競技会の敗者の首…
読替えという意味ではシェローやクプファーの域を出ていない。メト版ほどではないにしろ、ほどよくわかりやすい舞台なのは、バイロイトお気に入りのティーレマンの指揮を邪魔しないように配慮してのことだろう。 読替えではないが、フリッカとの論争中にもう…
ラインの黄金に引き続いてワルキューレを観てみた。ヴォータンの息子ジークムントと娘ジークリンデの駆落と惨殺の悲劇が描かれており、ウォルスング家の物語が元となっている。原作は二人の悲哀が基軸だが、本作では彼らの父であり剣ノートゥングを与え支援…
北欧神話のヴォータンと巨人の間に起こった神々の住処の賃金未払い騒動を種にした楽劇。原作ではトールによって巨人が打倒され物語は終わるが、本作ではギリシャ悲劇を思わせる災禍の連鎖となっているのが面白い。借金前借りで自分の城を建てるヴォータン、…
1976年までのバイロイトの歴史をワーグナーの生涯、参加した指揮者や演出家を追いながら紹介しているドキュメンタリー。パリオペラ座のブルジョア趣味に対抗してバイロイトの地が選ばれた話にはじまり、全木製の劇場構造、地下に設置されたことで独特な音場…
16年現在の災害対策映画。東日本大震災の報道映像を引用した破壊描写、が印象的だ。崩落する海底トンネル、レジャーボートを市街に吐き出しながら逆流する川、区画毎に停電する町々、闇夜の渋滞に取り残された市民たち、火災旋風に巻き上げられる車列。東日…