2013/06/01-

時間の無駄だから読まないほうがいいよ。

三月のまとめ

  ツイログが使い物にならなくなったので、改めてこちらにも記録を残していくことにした。ただでさえ世界も日本も荒れているのにネットに振り回されるとかどうかしている。

 そういえば身体の方もめちゃくちゃだった。消化器系が独立を宣言してあちこちを溶かして回るので手が付けられない。臓器が暴走する、というとライトジーンの遺産を思い出すが、抑えようとするのがそもそもの間違いなのかもしれん。暴れるのは器官の勝ってであって私こと脳が干渉すべきことではない。そもそも脳だって身体のフィールドバックの積み重ねでできているのだから、心と身体みたいな二元論でまとめてしまうのは如何なものだろう。

 まぁそんな感じに何もかも相対化したくなるほど疲れていた。京都から奈良に移ってからほんとうにろくなことがない。知事もろくでもない奴に変わったし。どうしたらいい。

 

2023年3月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3249ページ
ナイス数:76ナイス

https://bookmeter.com/users/159174/summary/monthly/2023/3
エリア88 23 (マンガの金字塔)
読了日:03月29日 著者:新谷 かおる
https://bookmeter.com/books/18034513

■怪獣人生 ~元祖ゴジラ俳優・中島春雄
大部屋出身だけあってかなりプロ意識が高い。東宝の、円谷の注文は絶対で、やらないともできないとも絶対に言わない。周囲に迷惑をかけないように気を配っていた古谷敏とも違っていて何であろうとやり遂げようという強い信念がある。そもそも入社経緯からして変わっている。戦中は海軍に入隊し厳しい訓練を乗り越えて加賀に乗船、戦後は占領軍の下で運転手として働いたが、スピード違反で追放されてしまう。そこで食うに困って入社したというのが東宝だったらしい。海軍で喰らった精神注入棒に比べたらゴジラなんて、という感覚だったようだ
読了日:03月21日 著者:中島 春雄
https://bookmeter.com/books/618406

ウルトラマンになった男
東宝への入社がニューフェイス枠だったということもあって、特撮に関わるには相当な葛藤があったようだ。ただでさえ顔の見えない役なのに、着ぐるみに幽閉されて怪獣に殴られる毎日は堪えただろう。皮一枚隔てて火薬を仕込まれたり水に溺れて窒息しかけたらしいが、死ななかったことが不思議なくらいだ。もちろん、わかりやすい契機として子供たちの応援があったわけだが、役者志望だった青年がその境地に辿りついただけでも驚くに値する。(中島春雄とは経緯が随分と違う)そういう意味で「ウルトラマンになった男」というのは素晴らしい題名だと
読了日:03月20日 著者:古谷 敏
https://bookmeter.com/books/304477

ウルトラマンに夢見た男たち (ちくまプリマーブックス)
ウルトラマンの裏方について書かれた本だけど、特撮班の工夫だけではなくカメラやデザインにもけっこうな頁を割いている。特に印象的だったのはカメラアングルの項で背景画と天井のギリギリを狙ったというエピソード。ローアングルなんて足元にカメラを置いて俯角をつければ撮れそうなものだが、着ぐるみで、しかもセット撮影とくれば相当な工夫が必要だったらしい。単なるフルショットでも背景画の限界を超えれば天井が見えてしまうのに、望遠で動き回る怪獣を捉えるためにどれほどの労力が必要だったのかは想像を絶する。
読了日:03月19日 著者:実相寺 昭雄
https://bookmeter.com/books/353934

ウルトラマンのできるまで (ちくまプリマーブックス)
「人間社会から拒否されてしまうモンスターの悲しみとおかしさ」を漂わせるために円谷や成田は人形の怪獣をデザインしなかったらしいけど、彼らを留まらせた理念が石ノ森章太郎が乗り越えようとした壁と相似的で面白い。「人間の変形が、いちばんおぞましいんです」というのは怪人の基本で「人間の体、皮膚を破壊したもの」は仮面ライダー。ご丁寧に「人間の天敵である爬虫類」にまで言及しているが、同じ業界の人間として思うところがあったのではないだろうか。
読了日:03月18日 著者:実相寺 昭雄
https://bookmeter.com/books/1346260

スカイ・イクリプス
ティーチャとかクサナギとかカンナミとかクリタとか色々と補完はされてるけど、笹倉のエピソードがいちばん楽しかった。フーコに身を委ねる最後は救いのある結末ではあるけれど、笹倉は飛行機の整備を通して何人ものキルドレを救っている。整備は直接的に命に関わっているし、メンテナンスについてのやり取りも欠けた心を何らかの形で補っていたはずだ。もうちと彼の物語を読みたかったな。
読了日:03月09日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/564836

■クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky
詩的、簡易な文体それ自体をキルドレの性能として回収してしまった。肉体的な変化がなくなり歳を取らなくなると記憶が持続しなくなり概念だけで考えるようになる...らしいけど、そこで空への憧れと殺意だけが残るというのが悲しいというか狂ってる。極限まで説明を削ぎ落とした理由もここにあったのか。面白かったけど、フラッタリンツライフと同じくらい濃度が薄いから前巻と合わせて再構成してほしいなぁ。
読了日:03月08日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/564869

■フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life
栗田が草薙のボディーガードなのはいいとして、そこから相良経由でキルドレの研究成果を明らかにする必要があったのか、そもそもキルドレの視点である必要があったのかという疑問が残る。叙述トリック風のダウンヘヴンとは違うのだから甲斐や相良といった人間に委ねてもよかったと思う。正直、四作連続でこの文体は読むのが辛い。
読了日:03月07日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/572862

ダウン・ツ・ヘヴン―Down to Heaven
「戦っている敵は、地上にいる人間たちよりも、自分に近い」という戦士としての自負が裏返る。兵士としての功績がが子供らしい振る舞いを許していたのに、それさえも食い尽くしてしまうショービジネスの恐ろしさよ。企業戦争や永遠の少年兵もこのためだったか。ビルディングロマンスとしては若干反則気味だが「大人の裏切り」は実に巧妙だった。
読了日:03月06日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/564927

ナ・バ・テア
草薙の過去だけど地上のあれこれから逃げて空を飛んでいるのはスカイ・クロラのカンナミと一緒。無闇に人と関わらない、悪く言えば子供っぽいところも似ている。ただ、機体に穴を空けられたらキレるし戦争に命をかけている自覚もある。カンナミに比べれば人間らしいが、その分幼稚な部分も目立っている。同じ作風で少しは感情を見せている、ということは成長するのかねぇ?続編の意義があるとすればそこだと思う。封印したストールターンを封印が今後どうなるかも気になる。
読了日:03月04日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/564926

スカイ・クロラ
空が自我や主題の逃避先にになることで逆にキルドレの存在が際立つという構図がいい。本来は土岐野のように敵に弾が吸い込まれる瞬間を観て、殺した責任を負うべきなのだろうけれど、キルドレ故にそれができない。長過ぎる人生が意味を削ぎ落として視野を狭めていく。それがその時時の端的な状況判断や他者の拒絶へとつながり、やがては空に通じる。語るべきことが反射によって浮かび上がってくる。空中戦の描写も絶妙で高度を落とした時の浮遊感やストールターンの筆致は心を踊らせるものがあった。
読了日:03月03日 著者:森 博嗣
https://bookmeter.com/books/572861

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)
何回か読んでるうちに妖精の舞う空の完成度に気づいた。これといった展開のない短編だけど、後のエピソードに絡むモチーフが端々に示されている。零が自動人形に感じた苛立ちは機械化と雪風への失恋、ブッカーがブーメランの暴発で傷を負った経験は特殊戦の性格そのもの。トマホークと天田少尉は変化球だけど、これも機械の身体/阻害された人間の権利を巡る物語だから、遠回りしつつもやはり妖精の舞う空に還ってくる。

読了日:03月02日 著者:神林 長平
https://bookmeter.com/books/573642


読書メーター
https://bookmeter.com/

 

 というわけで読書メーターからの転載。まぁ身体の方が絶不調だったのでろくに読めていないのだけれど。

 スカイクロラはSFとしてよくできているけど、ミスリードがすぎる。この作者なんだからミステリーとして読め、というジャンルの雰囲気はあるけれど、使っているガジェットは調理のしがいがあるから、もうちょっと私小説的な雰囲気にしてもよかったのではないか。どんでん返しや意外な展開だけが物語のすべてではないだろうに。残念だ。

 あとエリア88も面白かった。