五月の雑感、その一
1.ヤマト2199
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2012/07/27
- メディア: Blu-ray
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第五話「死角なき罠」
第六話「冥王の落日」
コスモタイガーかっこいい、反射衛星砲かっこいい、とにかく兵器類の描写がいちいちかっこいい。特に神経質なまでに区切られた段取りがいい。
驚いたのは、コスモタイガーの射出場面。これまでヤマトの艦載機はカタパルトからの射出がメインなので、イマイチ射出までの経過がつかみにくかった。それがカタパルトへの移送、司令塔との会話の挿入などによってかなり段取りがはっきりとした。
文句なしによかったのは反射衛星砲。発射前に微調整される反射板、「反射衛星砲発射」の高らかな響き、後方に噴出する発射ガス、発射の度に繰り返される「次弾装填」。しつこいまでの段取り描写が反射衛星砲の特徴なのだが、こんかいは砲自体のディテールも向上して全体的な品質が上がっている。素晴らしい!
「宇宙戦艦ヤマト2199 第二章 太陽圏の死闘」 PV 120秒バージョン - YouTube
第七話「太陽圏に別れを告げて」
アナライザーのスカートめくりはなかったけれど、原田エロかったし、新美さん色っぽかったしエロについては文句のつけようがない。
卑怯なのは真っ赤なスカーフの挿入タイミング、酒を飲み交わす沖田と徳川の図の胸焼けしそうなくらいにかっこいい図。
あざといにも程があるが、それがいい。
宇宙戦艦ヤマト2199 第三章 『果てしなき航海』PV - YouTube
1.1 マラソンマン
マラソン マン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2010/10/08
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1976年公開のジョン・シュレシンジャー監督作品。米国に隠蔽したダイヤを奪取しようとするナチ残党とそれに巻き込まれた大学院生の物語。
恐るべきはダスティン・ホフマンの演じ分け。序盤にチャラ男を演じていたかと思えば、いつの間にかナチ残党に治療代に縛り付けられ絶叫を上げて濡れた犬のようになっている。かと思えば、次の瞬間には拳銃片手にローレンス・オリヴィエと対峙するほどに逞しい顔つきになっている。
『わらの犬』『大統領の陰謀』の時も思ったが、ホフマンは虐められ、“限界まで溜め込んだ暴力を一気に放出する役”がとことん似合っている。それはもうエレファントの主人公なんか力も及ばないくらいに。
STRAW DOGS - Trailer - (1971) - HQ - YouTube
ローレンス・オリヴィエ演じるゼル博士も負けてない。特に拷問場面で無表情に口上を語る姿は我々の想像している冷徹なるナチそのもの。
総:シナリオについては多少がさつな印象があるが、ダスティン・ホフマン、ローレンス・オリヴィエの熱烈な演技がそれらを一掃してくれる。素晴らしい映画。
2.ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
- 発売日: 2012/02/03
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半世紀前に失踪した富豪の娘の追跡、それに連鎖して明かされていく殺人事件を描く。
・2010年スウェーデン公開のニールス・アルデン・オプレヴ監督版
大本が撮った映画ということもあって、北欧の情緒漂う映画になっている。特に白銀の世界とそこで展開される殺戮の組み合わせが印象的だった。
また、推理のために各地を飛び回る展開が、そのまま風景描写に繋がっているのは面白い。同様な描写方法は市川崑監督の金田一シリーズにもあるが、本作はあれのスウェーデン版と考えて間違いないだろう。
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』予告編 - YouTube
・デヴィッド・フィンチャー監督の2012年米公開作品
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2012/11/21
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基本的な展開はスウェーデン版と同じだが、推理に関する部分が要約的で主人公らの人間関係に重点が置かれている。推理を省力して演出を強化していることから、こちらは野村芳太郎版といえるかもしれない。
フィンチャー版で特によかったのは、推理で浮かび上がった犯人像を悪魔的に描いていることだと。スウェーデン版が冷酷な殺人鬼とすれば、こちらは想像を絶する悪魔といった塩梅でそそられる。セブンでもぞくぞくさせられたが、フィンチャーはこういう人間の想像力(実際の存在とは別に想定されるもの)の扱いがうまい。
また、推理が省略されることで風景描写が簡略的になっているわけだが、そのせいで品質が低くなっているわけではない。フィンチャー流のオサレ空間全開の美しい映画に仕上がっている。
原作が後半に圧縮をかけているからなのか、両作品とも残り三十分への依存度が高い。結末だけに絞っていうなら両作品とも同質、スウェーデン版は推理部分がややくどい。(ただ、スウェーデン版は推理部分で各地を飛び回る所がそのまま風景描写になっている)
総:高度な推理ものではないので、旅行記として読むと吉。北欧版金田一としてみると面白いと思う。
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
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実存主義で知られる哲学者サルトルとその生涯のパートナーでもあり『第二の性』で女性の解放を説いた作家ボーヴォワールが、既成の道徳観や古い因習に抗い、新しい愛の形を実践していく姿を描いた伝記ドラマ。
という売り込みの映画だが、実際には肉欲の塊がフリーセックスを唱えているだけの映画。二人が芸術や学術分野でどのように振舞ったか、それが「新しい愛の形」にどう結びついたか、それら特殊な事柄には一切触れておらず、両者を映画の材料にした意味がなくなっている。
おまけにサルトルが超絶イケメンでしかもインテリである。実際の彼がインテリであることは否定しようがないが、お世辞にもイケメンとは言い難い。しかし容姿へのコンプレックスがポーヴォワールへの恋愛感情を妨げる等の展開はない。イケメンかつインテリが美人学生に言い寄って新たな性の形を云々しているのである。
これが何を意味しているのか私にはまったくわからない。不細工で馬鹿なやつには性の形を云々する権利はないとでもいいたいのだろうか。それはもちろん正しいが、サルトルを材料にして表現する意味は全くない。
総:喪男には勧めない。少なくとも、恋愛経験のない俺に読み取れるものは何もなかった。