2013/06/01-

時間の無駄だから読まないほうがいいよ。

七月の読書やら何やら

  ベスト5

紅い眼鏡 [DVD]

紅い眼鏡 [DVD]

 

  (87)都々目紅一のケロベロス騒乱後あるいは胡蝶の夢。偉大なる兄弟のごとく貼り出された兵藤まこの肖像、闇市にひっそり佇む情報屋天本英世経営の立ち食いそば屋とそこでこそこそ麺をすする客たち、室戸文明のダンスと特機隊狩り、スポットライトをつかった舞台劇風の(ステージングという意味ではない)書割、それを蹴破る千葉等々のつくりもの感が“素人感とその囲い”をはっきり表していて素晴らしい。

 押井の“つくりめいたもの”をあえて画面にして居心地の悪さや不快感を演出し、それを胡蝶の夢を通してひっくり返してしまう作風がいちばんはっきりと、いちばんうまく表現されている作品だと思う。

 

ケルベロス東京市街戦―首都警特機隊全記録 (Gakken Mook)

ケルベロス東京市街戦―首都警特機隊全記録 (Gakken Mook)

 

 頭にフリッツヘルメットをかぶり装甲服を着用し、MG42片手に新左翼系テロ組織をあぶりだす警察組織。中世的な独軍の服装やクルップ等々の兵器デザインが戦後も生き残り、極東で共産思想と対決する姿が良い。焼け跡世代への憧れとミリタリズムが融合した奇怪な設定資料集。

ファーザーランド (文春文庫)

ファーザーランド (文春文庫)

 

  第三帝国勝利分岐のベルリン物語。ふとしたことが切っ掛けで一刑事が国家機密を知ってしまい秘密警察に追い回されるというありきたりな話なのだが、第三帝国が勝利した世界を旧ソ連と対比的に描写することで非凡な作品に仕上がっている。

 モスクワはベルリン、KGBゲシュタポ強制収容所ラーゲリといった具合に欧州大戦はどちらに転んでも状況自体は変わらないと思わせつ、そういったモスクワと似たディストピア的な閉塞感が最終的解決やチクロンBといった第三帝国特有の歴史的事実の登場で一気に反転しているところなどは非常に刺激的だった。戦前のドイツの政策を戦後まで持ち越したIF小説が多い中、勝利したことで(米国の日本人収容所のように)忘れ去られていく歴史、忘れるにまかせて隠し通そうとする役人等々の戦勝国の傾向をしっかり把握していて面白かった。

 

 

少女終末旅行 2 (BUNCH COMICS)

少女終末旅行 2 (BUNCH COMICS)

 

  心地よい破滅もの。空き缶に水を貯める時のぽつぽつという音に自然の歓声を聞き、またその反動で廃墟に漂う静寂に気づき、廃墟の中で衣食住に困らない幸福な家庭を想像(ただし自分たちの現状に絶望はしない)する等々、相変わらず終末と日常系のミックス具合が絶妙ですばらしい。「もっと絶望と仲良くなろうよ」は死ぬに死ねず、かといって幸せにもなれない「心地よい破滅」の状況を的確に表現した名言。

 (84)殺人アンドロイドからの逃亡劇。 露出オーバーで撮影されるロスの夜景の中、サーチライトに戦場の投光器、キャタピラに戦車の面影を見てベトナム帰還兵のような未来人が悶え苦しみ、弾ける筋肉をもって四肢を完璧に制御し人間に対して躊躇なく発泡する無言無表情のオーストリア系アメリカ人型アンドロイドが民間人を射殺していく。アメリカ史的なトラウマの再現が逆算的なSF的設定と記録映画風のナレーションによって妙な説得力を確保しているのが面白かった。

 

 

2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3356ページ
ナイス数:52ナイス

映画秘宝ex&オトナアニメex アニメクリエイターの選んだ至高の映画映画秘宝ex&オトナアニメex アニメクリエイターの選んだ至高の映画感想
新房の原色的な色選びの原点がサスペリアとか、ビパップの監督が松田優作好きだとか、意外だけど腑に落ちるインタビューが良かった。
読了日:7月31日 著者:
うにうにうにうに (2) (まんがタイムKRコミックス)うにうにうにうに (2) (まんがタイムKRコミックス)感想
かわいいは正義。キャラクターが固まったせいか、前巻の人格否定系のジョークは少なめ。
読了日:7月31日 著者:青田めい
少女終末旅行 2 (BUNCH COMICS)少女終末旅行 2 (BUNCH COMICS)感想
心地よい破滅もの。空き缶に水を貯める時のぽつぽつという音に自然の歓声を聞き、またその反動で廃墟に漂う静寂に気づき、廃墟の中で衣食住に困らない幸福な家庭を想像(ただし自分たちの現状に絶望はしない)する等々、相変わらず終末と日常系のミックス具合が絶妙ですばらしい。「もっと絶望と仲良くなろうよ」は死ぬに死ねず、かといって幸せにもなれない「心地よい破滅」の状況を的確に表現した名言。
読了日:7月28日 著者:つくみず
魔術から数学へ (講談社学術文庫)魔術から数学へ (講談社学術文庫)感想
魔術から数学というより西洋思想史における数学概論。ギリシアの有限と中世キリスト教の無限的発想の違いあたりは、アウグスティヌスを頂点と考える類の西洋哲学史的な発想では出てこない考え方で、いろいろと身につままされるものがあった。森の軽口で出来たような本なので、学術的にどうかは判断不能だが、(文学部系の)哲学科の学生には良い刺激になるのではないか。
読了日:7月28日 著者:森毅
犬狼伝説 下―KERBEROS PANZER COP a Rev (歴史群像コミックス)犬狼伝説 下―KERBEROS PANZER COP a Rev (歴史群像コミックス)感想
パルク事件の失態、運命のケルベロス騒乱。 上巻連載分から九年経過しているだけあって、自衛隊と特機の治安維持に対する認識の違いといった政治的な話題が取り上げられ、また画風も群衆のぶつかり合いを描いた大コマがなくなり、大写しが多くなっていて、時間の流れを感じる。とはいえ、上巻の群衆描写のうまさは健在で、パルク事件の特機登場や騒乱の吹き抜けを利用した警視庁内の銃撃戦の躍動感にはうならされた。
読了日:7月25日 著者:藤原カムイ
犬狼伝説 上―KERBEROS PANZER COP a Rev (歴史群像コミックス)犬狼伝説 上―KERBEROS PANZER COP a Rev (歴史群像コミックス)感想
首都警とセクトよもやま物語、四谷暴動からルフトハンザ事件まで。角川版を持っているから別にいいやーと思ってスルーしてたけど、手に取ってみて驚いた。アメコミのように同じコマの連続に説明(押井節)を加えたものに見えたものが、大判になることでよりクリアで動的に見えるようになっている。四谷暴動で赤旗の竿と警棒で殴り合うデモ隊と自治警、隊列を組んでの発炎筒の発射、広がる煙と鼻をつまんで逃げようとするデモ隊、ドイツ大使館占拠事件の落下するシャンデリア、ルフトハンザ事件で銃を向け合う特機と自治警等々の群衆や破片を描い
読了日:7月25日 著者:藤原カムイ,押井守
ファーザーランド (文春文庫)ファーザーランド (文春文庫)感想
第三帝国勝利分岐のベルリン物語。ふとしたことが切っ掛けで一刑事が国家機密を知ってしまい秘密警察に追い回されるというありきたりな話なのだが、第三帝国が勝利した世界を旧ソ連と対比的に描写することで非凡な作品に仕上がっている。モスクワはベルリン、KGBゲシュタポ強制収容所ラーゲリといった具合に欧州大戦はどちらに転んでも状況自体は変わらないと思わせつ、そういったモスクワと
読了日:7月24日 著者:ロバートハリス
高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)感想
日独占領下の米国生活誌。戦勝国による弾圧やレジスタンス活動など二次大戦の延長としてのIFではなく、戦後処理がひと通り終わったあとの世界を描いているのが興味深い。日本人やその占領下にある米人がドイツの思想統制やユダヤ政策に対して嫌悪を露わにする様子は、歴史が別の方向に進んだ場合の”冷戦”を見ているような感覚にさせてくれる。日本人のアメリカンノスタルジーやそれにつけこんでレプリカを製造する商売人も皮肉がきいていてよかった。
読了日:7月22日 著者:フィリップ・K・ディック
反劇的人間 (中公文庫 M 89)反劇的人間 (中公文庫 M 89)感想
普遍から特殊を見出す安部と特殊から普遍を見ようとするキーンの対談集。 対談といっても日米文学趣味者の連想ゲームといった体で、川端の文体の欧州的特徴、オイディプスの悲劇的体質、ベケット劇における時間表現と観客の時間認識、類型化されたキャラクターをギャップ萌えさせる方法等々の薀蓄や飛躍した論理が次々と陳列されている。 日本人論は安部の満州体験のこともあって主観的でピントがぼやけているが、演劇論は非常に示唆に富んでいて面白かった。
読了日:7月19日 著者:安部公房,ドナルド・キーン
ケルベロス東京市街戦―首都警特機隊全記録 (Gakken Mook)ケルベロス東京市街戦―首都警特機隊全記録 (Gakken Mook)感想
頭にフリッツヘルメットをかぶり装甲服を着用し、MG42片手に新左翼系テロ組織をあぶりだす警察組織。中世的な独軍の服装やクルップ等々の兵器デザインが戦後も生き残り、極東で共産思想と対決する姿は中々味がある。焼け跡世代への憧れとミリタリズムが融合した奇怪な設定資料集。
読了日:7月14日 著者:
ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)感想
ケルベロス・イン・スターリングラード。ウニヴェルマーク・デパート前に立つケルベロスインパクトはさることながら、その具体的な遠景や容姿についての具体的な描写が、いつのまにか母なる大地の広軌に悩まされる独軍兵站等々の薀蓄、ドイツ俳優のパラマウントへの引き抜きは、ウーファがユダヤ資本に屈従した結果等々の誇大妄想的な関連付け、果ては国家権力という俯瞰にまで視野が飛んでいく。陰謀論的なスタイルではあるが、空を飛ぶような飛躍が爽快だった。
読了日:7月13日 著者:押井守
対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))感想
対象喪失入門。愛する者(故郷)を失恋や死によって失った人々は、なぜ死者を理想化したうえで内在化し、故人に成り代わろうとし、それらを覆すように恐れ怒るのかをフロイトを引用しながら解説。様々な矛盾をはらんだ心のゆらぎをこうも(多少文学的ではあるが)颯爽と描き出せるのかと驚かされた。 精神分析系の書だが、古典文学や泣きゲーを分析するのにも使えるかもしれない。
読了日:7月5日 著者:小此木啓吾

読書メーター

 

7月の鑑賞メーター
観たビデオの数:17本
観た鑑賞時間:2034分

紅い眼鏡 [DVD]紅い眼鏡 [DVD]
(87)都々目紅一のケロベロス騒乱後あるいは胡蝶の夢紅い眼鏡デウスエクスマキナ)によって合理化された画面とはいえ、偉大なる兄弟のごとく貼り出された兵藤まこの肖像、闇市にひっそり佇む情報屋天本英世経営の立ち食いそば屋とそこでこそこそ麺をすする客たち、室戸文明のダンスと特機隊狩り、スポットライトをつかった舞台劇風の(ステージングという意味ではない)書割、それを蹴破る千葉等々のつくりもの感はなかなか味わい深い。押井の“つくりめいたもの”をあえて画面にして居心地の悪さや
鑑賞日:07月27日 監督:押井守
ケルベロス 地獄の番犬 [DVD]ケルベロス 地獄の番犬 [DVD]
(91)藤木義勝の戦後。ケルベロス騒乱で主人を失った男が放心状態で黄色い砂の舞う大陸を放浪する。砂埃舞う中でも立ち並ぶ露天、そこに寄生した虫のように貼り付いた看板群、薄汚れたコンクリ壁に乱雑に貼り重ねられたポスター、路地に放置されたホコリまみれのベビーカー、対比的に輝く純白のタイル壁に囲まれたホテルの一室等々が、野良犬の存在を許す程度に薄汚れた漢字の国の九十年代、崩壊した伏一貴の内面を
鑑賞日:07月27日 監督:押井守
人狼 JIN-ROH [DVD]人狼 JIN-ROH [DVD]
ドイツ占領下の昭和三十年、国家に見放された元国家権力の狼と赤祺の代わりに手榴弾を投げる赤ずきんの許されぬ恋。押井式朗読劇を採用しながら、映像がきちんと暗喩を採用している珍しい作品で、童話の朗読と歩調を合わせながら離合集散する二人の関係がなかなか切ない。アニメらしい細かい仕草も満載で、赤ずきんのぐっとかき上げられる髪とか中途半端に揺れるブランコから立ち上がる時や滑り台を降りるときの下半身の微妙なフラつき、MGを持ち上げた時の上下の反動等々がいちいち感動させる。ワーゲンが路面
鑑賞日:07月25日 監督:沖浦啓之
インターステラー ブルーレイ スチールブック仕様(2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]インターステラー ブルーレイ スチールブック仕様(2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
過去を書き換えてブラックホールの中心まで自分を誘導していたという情報を物語の最後に開示し、フラッシュバックを利用して物語の総まとめに入るという手法は実にノーランらしくて楽しくもあるのだが、操作する前の世界をクーパー(やワームホールの提供者)がどうやって観測したのかが全く説明されてない。おそらく捜索に失敗したり、ワームホールの情報を手に入れるための別の世界線が他にもあったのだろうけど、どうして説明しないのかな。プレステージのように感情と共に設定を暴露するというようなやり方もあったように思うのだけれど。
鑑賞日:07月19日 監督:クリストファー・ノーラン
マッドマックス 怒りのデス・ロードマッドマックス 怒りのデス・ロード
主筋がないだけでイモータンジョーと女達の闘争やフュリオサの故郷喪失と老婆の愛情、余命宣告を受けてもなお忠誠のためにトラックを追うニュークス等々、細かい物語はいくつも詰められているし、また組み立て方も丁寧そのもの。荒っぽく見えるけど、それなりに合理的な部分も併せ持っている不思議な作品だった。
鑑賞日:07月19日 監督:ジョージ・ミラー
ジュラシック・パークIII [Blu-ray]ジュラシック・パークIII [Blu-ray]
(01)カービー坊や捜索隊。スピノサウルスはじめ、二足で縦長な銅を支える恐竜の水飲み鳥的な揺れ、筋肉を張った時の細かい皺のヨリなど、ディテール面での凝り方が良い。 ただし、前作の低音の足音やそれによって揺らぐ水たまりといった伏線的な恐怖感の演出は皆無で、スピノサウルスもT-レックスも人物の振り向き動作と恐竜大写しといったカット割りに依存したものになっており、表現はかなり遊園地寄り。冒頭は引き裂かれるパラセールというスリラー演出なのに、続く映像は我が子の名を叫び
鑑賞日:07月16日 監督:ジョー・ジョンストン
ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク [Blu-ray]ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク [Blu-ray]
(97)エコテロリスト化したマルコムのジュラシックパーク再建妨害作戦。前作のTレックスやラプトルからの逃亡劇に軍用車による追い回し、麻酔銃による捕獲を描くことで恐竜と人間の立場を拮抗させている。Tレックスに襲われつウィンチで宙吊り状態に置かれたキャンプカー、その吹き抜けを利用したロッククライミングアクションなど、逃げる一方だった前作とは状況設定の傾向も違って面白い。段々と
鑑賞日:07月16日 監督:スティーブン・スピルバーグ
ジュラシック・パーク [Blu-ray]ジュラシック・パーク [Blu-ray]
さすがBDだけあって、夜の森で泥土を踏みしめるティラノサウルスの足やそれを誘導するための紅い発炎筒、薄暗くも鍋の反射が美しい調理場でのラプトルと子どもの追いかけっこ等々、DVD版と比べると黒や細かい輝きといった部分が非常に綺麗。ただ、ディテールの細かさがアダになっている部分も多く、冒頭のブラキオサウルス二足歩行部分などはCGののっぺりとした質感がでてしまっている。一方で模型でつくられたティラノサウルスが全く見劣りしないのに驚かされもするのだけれど。
鑑賞日:07月14日 監督:スティーブン・スピルバーグ
ターミネーター:新起動/ジェニシスターミネーター:新起動/ジェニシス
(15)未来へのジョン護送という過去四作品の題材をメタに捉え、時間旅行者殺しの文脈に埋め直した作品。お馴染みT-800の肉弾戦、タミネーター殺しの味を覚えたサラによるT-1000溶かし、CTスキャンの磁力をつかったT-3000潰し等々、工夫が凝らされたアクションが面白い。 ただ、本筋に絡まない廊下や駐車場で延々と設定披露をしてしまうスタイルはT3同様で、過去作に対する未練が少し強すぎる感がある。シリーズ化したSFの宿命なのだろうか。
鑑賞日:07月11日 監督:アラン・テイラー
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル [Blu-ray]ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル [Blu-ray]
(11)核発射制御装置争奪戦。核発射による世界の終焉を目論むマッドサイエンティスト、潜入後爆破されるクレムリン、アラブ系富豪への色仕掛け、不祥事を押し付けられテロリスト化するトムクルーズ、スラヴ系女殺屋等々、二重スパイ以外を除く007からの設定引用を隠しもアレンジもせず、様式化したビル登頂とワイヤーアクションを差し込むことによってのみ映像的な差別化を図っているのが清々しい。
鑑賞日:07月06日 監督:ブラッド・バード
M:i:III [Blu-ray]M:i:III [Blu-ray]
(06)化学兵器争奪戦。二重スパイ経由の情報流出なら特定の国家を的に回さなくても済むと言わんばかりの開き直りに満ちた作品。巧みな情報調整のもとで展開する風車の森のヘリチェイス、高層ビルへのグライダー下降等々のアクション、セブンマイルブリッジでの銃撃戦は一種の名物観光的な味があるが、それらすべてが冒頭の作戦立案皆無で人物の時計への目線だけを頼りに進むバチカンでの追いかけっこよろしくアクション見世物市的で敵が見えない。Iの意思を継いでいるといえばそれまでだが。
鑑賞日:07月06日 監督:J.J.エイブラムス
M:I-2 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]M:I-2 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
(00)トム・クルーズ×ジョン・ウーアクション展示会。スパイ大作戦の引用を拒否するかのような矢文による命令通達、移動も個人所有の独高級車で時にはヒロインとチェイスを繰り広げる。無許可で滞空するヘリから高層ビルへダイブ、トライアンフとトラックの障害車競走等々のミュージックビデオ風のジョンウー節が連続する。冷戦諜報合戦の終わりを告げた前作の意図を巧妙に解釈した秀作。
鑑賞日:07月05日 監督:ジョン・ウー
ミッション:インポッシブル™ スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]ミッション:インポッシブル™ スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
(96)スパイ大作戦。50分ドラマの自作自演式尋問は皆無でPOV視点を使った間違い探しやメガネ型カメラやラットトップ、CIAのスパイリスト盗難時のワイヤーアクション等々のメカ表現が主。東欧を舞台にしていることから、気を抜くと007と区別がつかなくなる。二重スパイへの報復する主人公を鬼面で顔が固まっている若きトムクルーズが演じるという無茶な作品だが、謎解きとそれに対する心情変化を強引なフラッシュバックで表現することで膠着気味なかれの演技の隠蔽に成功している。変な工夫が面白かった。
鑑賞日:07月05日 監督:ブライアン・デ・パルマ
ターミネーター4 コレクターズ・エディション [DVD]ターミネーター4 コレクターズ・エディション [DVD]
(09)審判の日以後のさらに人類皆遊撃戦化して以後。物語は過去としての現在、シュワルツェネッガー大写しのヒーロー映画から直接的なスカイネットとの戦闘と前三作とのつじつま合わせへとシフト。ショットガンフェチのクリス・カイル誘拐、変声装置機能付T-800、シュワルツェネッガー型試作T-800、ジョンの引っかき傷等々の布石を爽快に回収。設定説明偏重だった前作より脚本は複合的、引用もアクションの最中に挿入するなどの工夫が凝らされていて面白かった。
鑑賞日:07月02日 監督:マックG
ターミネーター3 スタンダード・エディション [DVD]ターミネーター3 スタンダード・エディション [DVD]
(03)審判の日。設定披露ために空軍将校は廊下を歩き続け、コナーはT-850の前で静止し、時にはキャンプカーと司令部の廊下をいったりきたり、やや過剰とも思えるT2への愛がワイヤーと鍵をを使った大型車反転やターミネーターの硬質を表現するための壁抜き等々の引用アクションへときちんとつながっている。サングラスを選ぶT-850や大型車の追いかけっこに唖然とする消防士あたりはやや映像の流れを切っている感はあるが、それらを含めてファンサービスのみをきちんと押さえた作
鑑賞日:07月02日 監督:ジョナサン・モストウ
ターミネーター2 [DVD]ターミネーター2 [DVD]
(91)T-800英雄譚。恐怖の象徴だったターミネーターは正義の味方へと転向、作中のカタルシスは完全にヒーロー映画のそれへと変質し未来への不安はT-1000との殴り合い、サラの内面にのみ存在する。そういった不安感でさえもジョンコナーを抱き抱え、飛び来る弾丸を背中で受け止め、ハーレー上からのショットガン回転発射で排水路を爆走するトラックの進路を逸らし、わらわらと沸いて出る警察さえも催涙弾でまいてしまうシュワルツェネッガーの前では跡形もない。消炎の臭がただただ気持ちの良い作品だった。
鑑賞日:07月01日 監督:ジェームズ・キャメロン
ターミネーター [DVD]ターミネーター [DVD]
(84)殺人アンドロイドからの逃亡劇。 露出オーバーで撮影されるロスの夜景の中、サーチライトに戦場の投光器、キャタピラに戦車の面影を見てベトナム帰還兵のような未来人が悶え苦しみ、弾ける筋肉をもって四肢を完璧に制御し人間に対して躊躇なく発泡する無言無表情のオーストリア系アメリカ人型アンドロイドが民間人を射殺していく。アメリカ史的なトラウマの再現が逆算的なSF的設定と記録映画風のナレーションによって妙な説得力を確保しているのが面白かった。
鑑賞日:07月01日 監督:ジェームズ・キャメロン

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