2013/06/01-

時間の無駄だから読まないほうがいいよ。

さんがつのまとめ

 えろげーばかり読んでいたので冊数はこなせなかった。ただ、ロ云々のことがあったのでセカンドハイドだけは読んだ。視点、価値観の複数性、均衡と構造、どれも一級で脳が洗われるような感覚に陥る。アレクシェーヴィチすごい。あとオーウェル。彼のことは何回か書いているし今更語ることもない。

 

2022年3月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:3265ページ
ナイス数:131ナイス

https://bookmeter.com/users/159174/summary/monthly/2022/3
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
一人称は「ぼく」で、人は山ほど殺したけど「虐殺」ははじめてです、というのが最高にクール。ミニタリー小説にサイバーパンクを継ぎ接ぎしたような風景が続くのに読後感は罪と罰。動機云々は何もかも作中で言っているから、ここで改めて書くべきことはない。
読了日:03月22日 著者:伊藤 計劃
https://bookmeter.com/books/565343

■アフガン帰還兵の証言―封印された真実
全体主義の国だから、というのは理解しているのだけれど、実態を明らかにしようとして「名誉を汚すな」「傷口を抉るな」と返されてしまうと困惑してしまう。しかも、兵士たちの名誉のためであって、圧力をかけられたからそのような態度をとっているわけでもない。心理学的には認知的不協和とか歴史的には国家主義の犠牲者等々とラベルリングすることはできるだろうけれど、それで何かが解決するわけでもない。どう受け止めればよいのだろう。
読了日:03月22日 著者:スヴェトラーナ アレクシエーヴィッチ
https://bookmeter.com/books/306313

■セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと
ソビエト的でありロシア的でありドストエフスキー的でありチューホフ的であり……形容する言葉はいくつもあるけれど、どれもが適切とも思え、それだけではないだろう、と考えてしまう。強いていえばポリフォニーだろうか。それだけ重厚な証言集だった。読むのは二度目だけれど、統一概念としての「赤い国」はますますわからなくなった。(そもそもそんなものはあるのだろうけ)世代間の衝突をはっきり意識した姿勢はツルゲーネフ的だとは思った。
読了日:03月19日 著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
https://bookmeter.com/books/11164423

チェルノブイリの祈り―未来の物語
こういった時勢だけあってそのような視点で読んでしまうのだけれど、主題をさし置いて飛び込んでくるものがこの本にある。タジキスタンキルギスからの難民、彼らの縋る場所としてのチェルノブイリ。土地を捨てる人間が居れば移住してくる難民もいる。その事実とアレクシェーヴィチの視野の広さにただ驚くばかりだ。
読了日:03月19日 著者:スベトラーナ・アレクシエービッチ
https://bookmeter.com/books/75513

■ペスト (新潮文庫)
(時代としてもそう受け止めることが当然なのだけれど)パンデミックというよりは実存小説。異邦人への回答という意味合いもあると思うが、理性を失った群衆の姿はムルソーに似ている。疫病の到来によって群衆は共感共苦は無効化して家に火を放ち、医者は感情を殺して治療に励む。後ろ盾をうしなった人々は淡々と不幸を受け入れて生きている。前向きな意思を失っても、なお人々が生に執着する光景は如何にも(反サルトル的で)カミュらしい。
読了日:03月19日 著者:カミュ
https://bookmeter.com/books/557289

■あなたと原爆 オーウェル評論集 (古典新訳文庫)
歴史を知ること、言葉を紡ぐことの難しさを思い知らされる。あの右翼は、あの左翼は事実を見ていない、誇大妄想を持っている、そう口にするのは簡単でオーウェルもそのような事を言ってはいる。けれど、学ぶべきはその”攻撃的な姿勢”ではない。野次を投げるなら猿でもできるし、その根拠のない野次こそ彼が恐れた事だろう。右翼が明らかにした事実の方が確かなら、不快だろうとそれを受け入れる必要がある。でないと「反ユダヤ主義者ではないがユダヤ人は嫌いだ」と自己矛盾を起こしている人々と同じではないか。
読了日:03月11日 著者:ジョージ・オーウェル
https://bookmeter.com/books/14277904

カタロニア讃歌 (ハヤカワ文庫 NF 97)

党によって捏造されていく歴史、その「事実」に従って投獄されていくかつて戦友、文脈依存で多義的に、より暴力的なニュアンスを獲得していく言葉「トロツキスト」+ファシスト、前半ののんびりとした、だが戦争らしかった戦争がスターリン主義の台頭によって内ゲバに変質していく...と相変わらずオーウェルという感じの内容。彼の思想が芽生える過程がわかるので自伝としても面白いのだが、複雑な人民戦線の内情から生成発展していくから読み難い。(ただでさえオーウェルの思考は回りくどいというのに)。
読了日:03月10日 著者:ジョージ・オーウェル
https://bookmeter.com/books/13234

死の家の記録 (新潮文庫)
初期社会学的な分析を挟みつつ論旨をぐらつかせるようなエピソードを無遠慮に重ねて行く作風が如何にもドストエフスキーらしい。自由への渇望、その欲求不満を解消するための口喧嘩、看守に見咎められないための抑制、こういった如何にも刑務所的な力学の中で塀を越えて酒を売り買いする酒屋や質屋を営むユダヤ人が構造の枠組みを破壊するように蠢く。学はあるが父殺しの貴族、無学だが聖書から文字と学問を手に入れる聖人のような男、チェルケス人のアレイこの真っ向から対立するような人物が喧嘩もせず仲違いもせず、”別々に生きている”光景も魅
読了日:03月03日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/573634


読書メーター
https://bookmeter.com/

 

 ちなみにやったえろげーは君が望む永遠。うじうじしている。兎に角うじうじうじうじしている。三角関係、不倫の物語だけど、あの人に狙いを定めてーといった寝取られの定番ではなく、配慮に配慮を重ねて泥沼に足を取られる類の作品だ。あの人にも迷惑だし、この人にも迷惑だし、これをすれば、あれをすれば誰彼に迷惑がかかる、どうしよう。厳しい状況のなかで他人の優しさにがんじがらめにされる、ということは現実にもあることだけれど、これほど文字で表した作品は他にはないだろう。昼ドラっぽいもの、ドロドロとした恋愛情事というのは、実はプロットレベルのは簡単なのだけれど、うじうじをうじうじではなく、きちんとそれぞれの個性として描くのは難しい。夏目の「こころ」が簡単に要約できない物語であるように、男女の情念とはステロタイプに落とし込めない領域がある。君のぞはそれを描ききった作品だった。

 そんなこんなで君のぞで二月が終わった。来月はマブラヴ。こちらも理解を深めるためにクラークの遥かなる地球の唄やホーガンの星を継ぐものを読んでおかないから長くなりそう。

 

f:id:efnran:20220401180801j:plain

f:id:efnran:20220401180813j:plain

f:id:efnran:20220401180832j:plain

f:id:efnran:20220401180849j:plain


www.youtube.com