2014年9月の記録
先月もグダグダぐっちゃぐちゃ。シリーズ作品を集中して観たわけでも、テーマに沿って体系的に読んだわけでもない。夏が悪いのだ、夏バテが悪いのだ。
1の素晴らしき日々~不連続存在~は九月が暑かったのと、夏だったのでプレイ。元祖である終ノ空をジキルとハイド風に再構成し、中世哲学や後期ウィトゲンシュタインで肉付けしている(と思われる)作品。内容については分析系の哲学史に詳しくないので細かい部分まで読み解くことはできなかったが、ミステリーとしても読めるのでそれなりに楽しめた。5のジキルとハイドはその関係で読み直した。こちらも構成が面白い。フランケンシュタインとまではいかないが、非常に構成力のある作品だと思う。
2,3は積ドキュを減らすために観たらそれなりに面白かったから。BBCやグラナダのようなスタイルで、俯瞰的にソ連、中国の社会主義史を眺めている。NHKは映像の世紀のように歴史を倫理や詩的な表現で語ることが多いので意外だった。社会主義の20世紀 第8回 歴史の空白は埋まるか は社会革命党の粛清からはじまったラーゲリこと強制収容所の歴史、BS特集 民衆が語る中国・建国60年 第2章 人民公社と大躍進の時代は百花争鳴で炙り出された人々が反右派闘争によって弾圧されていく様子がそれぞれ描かれている。
4の嘆きの天使とグランドホテル等々は20世紀シネマ館関係で。教授の純情と悲哀は泣ける。
5の文学とは何かは復刊記念で、6は吸うようにセクハラするイケダに憧れて、7は佐藤に憧れて、8はジョーンズ、お前は首だ!、9はジャッキーの華麗なる泥酔に、10はビールを飲む際の参考になったから。
以上。
1
素晴らしき日々~不連続存在~
2010" ループゲーだと聞いて開いてみればジキルとハイドだった。視点を次々と変えることで明らかになる事実やそれに関係して解釈が変わっていく心理描写は見事という他ない。また、ベルジュラック等々の文学からの引用の他、会話の中に時折現れるニーチェやクザーヌスがいいスパイスになっていた。傑作。
クリア日:09月07日
2
社会主義の20世紀 第8回 歴史の空白は埋まるか
3
BS特集 民衆が語る中国・建国60年 第2章 人民公社と大躍進の時代
4
嘆きの天使【淀川長治解説映像付き】 [DVD]
ドイツ1930年の運命の女。ディートリヒの肉体美を見出した作品として有名だが、ヤニングス演じる教授の見事なまでの転落ぶりも負けてはいない。権威で身を飾り、生徒や客を叱りつけながらもローラに言い寄る無口助平な“教授”が職と権威を放棄し薄汚い、ただのラートになっていく過程のなんと哀れなことか。落ちてなお教授時代のプライドにすがりつき癇癪を起こす場面や嗚咽と共に吐き出される婚約パーティーの一芸は涙なしに見ることはできない。
鑑賞日:09月24日 監督:ジョゼフ・フォン・スタンバーグ
5
ジーキル博士とハイド氏 (岩波文庫)の感想
1885年の高貴なる義務によって仕切られた世界から悪を解放した人間の愚かな末路。道徳小説として紹介されることの多い作品だが、視点は犯罪小説に近い。博士の口から語られる人間の二面性や善悪の問題には根拠がまるでなく、薬物に負けた罪悪感を理論付し転嫁しようとしているように読める。(このあたりはラスコーリニコフに近似)むしろ、新薬のもたらす開放感に溺れて殺人を犯してしまう犯罪者としての博士の姿は現代の薬物に溺れる精神虚弱者の姿を思い起こさせる。簡素だが非常に力強い小説だった。
読了日:9月5日 著者:R.L.スティーヴンスン,R.L.Stevenson,RobertLouisStevenson
6
読了日:9月10日 著者:ハトポポコ
彼とカレット。の感想
ワンパターンな四コマだなと思ったら一般紙の皮をかぶったエロマンガだった。成人雑誌を読んでいると思って向き合えば非常に質の高いエロを摂取することができる。 俺も「転倒した勢いで胸を揉む⇒血を流す⇒さりげなく胸を揉む⇒血を流す⇒転倒した勢いでスカートの中に頭を突っ込む⇒血を流す⇒さりげなくスカートの中に頭を突っ込む⇒」みたいな人生を送りたい。
7
平成生まれ (2) (まんがタイムKRコミックス)の感想
平成生まれ半分エロ半分。キャラが立ってきたからなのか、佐藤の煽りを各々が独自に料理していて良かった。
読了日:9月25日 著者:ハトポポコ
8
ロボコップ (特別編) [DVD]
シャワーシーンを確認するために見た。 極東の島国に車から人工臓器の市場までもが奪われたアメリカはデトロイトで繰り広げられる血塗活劇。一片の同情の余地がないクラレンス一家に四肢を引き裂かれた警官が復讐する、ただそれだけのストーリーだが主人公への仕打ちやプレゼン中の事故、ロボコップの無機質な外観等々が他の作品では味わえない重みを与えている。
鑑賞日:09月22日 監督:ポール・バーホーベン
9
酔拳 (ドランク・モンキー) [DVD]
道を歩けば不良につっかかり、食堂に入れば食い逃げを……とどうしようまく屑な人間を矯正する話かといえばそんなことはなかった。拳で懲らしめようとしてきた被害者をボッコボコにして終わりなのだが、それがどうしようもなく面白おかしい。香港映画独特の「アイヤー」を連発しているから、はたまた片手に酒瓶を担いでいるからか、ジャッキーの“華麗”な泥酔故か。展開の速い物語は倫理観を超えることを証明してくれる傑作。
鑑賞日:09月10日 監督:ユエン・ウーピン
10
現代の驚異 進化するビール
10
2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:3326ページ
ナイス数:26ナイス
ゲノム金 (メガストアコミックス)
読了日:9月26日 著者:古賀亮一
平成生まれ (2) (まんがタイムKRコミックス)の感想
平成生まれ半分エロ半分。キャラが立ってきたからなのか、佐藤の煽りを各々が独自に料理していて良かった。
読了日:9月25日 著者:ハトポポコ
橋―ユダヤ混血少年の東部戦線 (20世紀メモリアル)の感想
戦地へ赴いた混血ユダヤ人の記録。「第一級の混血」だったことでゲシュタポや国防軍内部の党員から見逃してもらったエピソードがいくつか収録されている。
読了日:9月22日 著者:エルニカルツォヴィッチュ
新詳高等地図 (Teikoku’s Atlas)の感想
地政学はもちろん、戦記を読むときに必要な本。地名から地形、海流、生産物にいたるまでこれくらい見やすく記載されている地図はこれだけだと思う。ただ、世界と地方がリンクしていないのでアトラスに比べて検索が悪い。 適時マーカーやペンで情報を追加していくと自分だけの歴史地図ができる。
読了日:9月20日 著者:
ツーリングマップル全日本の感想
国道と街(や名物)の位置関係や街道名、高速道路が見やすく整理してあるので、県外をふらつくにはちょうど良い。ただ、基本的に県道以下は記載されているだけで道番号がないので、あまり期待しない方が吉。
読了日:9月20日 著者:松波留美、ウメ吉
予告犯 1 (ヤングジャンプコミックス)の感想
シンブンシの配信する映像が中東の断首の類ではなく、殴る蹴る強姦程度なのがいい具合に現実感を醸し出している。制裁の内容や観客の反応もネット便所の壁によく書かれているものによく似ているし、いつかニコ生あたりで実現しそう。シンブンシのキャラが複雑で味わい深いのに対して、捜査側の描写がテンプレ的でいまいち面白みに欠ける。義賊の主張に対応させるために官憲を置いているようだけど、いっそ僕らのみたいな群像劇にしてしまえばよかったのではないか。
読了日:9月20日 著者:筒井哲也
週刊 日本の街道(38)伊勢街道 七里の渡しから神宮への感想
揖斐川は七里の渡しから伊雑宮までを道の駅で立ち読みできるくらい軽く紹介していて読みやすい。伊勢本街道の全体像をイメージするには便利だが、情報が中途半端すぎて具体的に伊勢音頭の「 伊勢は津でもつ、津は伊勢でもつ」を想像することはできない。また、伊勢講の流行を書いていながら、和歌山街道など他の街道について一切言及していないのはこれ如何に。
読了日:9月20日 著者:
週刊 20世紀シネマ館 No.49 1895-1924(明治28年~大正13年)の感想
映画史に掲載されている類の作品の宣伝冊子集。 技術的な話が一切載っていないので映画史を知るにはいまいち物足りがないが、大昔に流行った、あるいは批評家が評価している映画がなぜ有名なのかを映画館で配布されているパンフレット的な視点から教えてくれる。見たい映画探しをするのにちょうど良い。銀幕の主人公の項目ではチャップリンを紹介している。キッド、散り行く花、カリガリ博士、荒武者キートンは観た。
読了日:9月20日 著者:
週刊 20世紀シネマ館 No.36 1925-30(大正14年~昭和5年)の感想
表紙はチャップリン、銀幕の主人公はグレタ・ガルボ。大戦直後の時代を紹介しているはずなのに西部戦線異常なしではなく、前回も表紙を飾ったチャップリンの、しかもゴールドラッシュを題材にした黄金狂時代を押すとはこれ如何に、とか戦争映画好きとしはちょっと思った。技巧や技術から一歩離れて紹介するのであれば、ちょっと工夫がほしいというもの。触発されて黄金狂時代、メトロポリス、キートンは観た。
読了日:9月20日 著者:
ツーリングマップル 関西の感想
道路地図で観光マップでちょっとした歴史地図でもある本。ツーリングで走るつもりがなくても、眺めているだけでも楽しい。国道に色塗って遊んでる。
読了日:9月14日 著者:
デイリーコンサイス国語辞典の感想
二、三十秒の暇を殺すのに使える。
読了日:9月14日 著者:
世界文学全集〈第3集 第6〉モリエール (1965年)タルチュフ ドン・ジュアン 怒りっぽい恋人 守銭奴 病は気から 女房学校の感想
読中
読了日:9月11日 著者:阿部知二
平成生まれ (1) (まんがタイムKRコミックス)の感想
ばんがいちの巻末に載ってそうな猥褻な不思議系少女の四コマ。少女らの世界がクラスから隔絶され、グループで完結しているのは『ゆゆ式』と同じだが、こちらはグループ内でもコミュニケーションが成り立っていない。投げられた話題はつねにあらぬ方向へ突き飛ばされる。このどうしようもない感じがたまらなく面白い。
読了日:9月10日 著者:ハトポポコ
彼とカレット。の感想
ワンパターンな四コマだなと思ったら一般紙の皮をかぶったエロマンガだった。成人雑誌を読んでいると思って向き合えば非常に質の高いエロを摂取することができる。 俺も「転倒した勢いで胸を揉む⇒血を流す⇒さりげなく胸を揉む⇒血を流す⇒転倒した勢いでスカートの中に頭を突っ込む⇒血を流す⇒さりげなくスカートの中に頭を突っ込む⇒」みたいな人生を送りたい。
読了日:9月10日 著者:tugeneko
文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)の感想
イーグルトン流の文学理論史。一巻は19世紀末の英文学(印象批評等々)の状況から構造主義までを駆け抜ける。スクールティニー、エリオット、果てはフッサールやハイデガー、ガダマーら現象学/解釈学をも巻き込んで解説。通史なのに語りに躍動感があるので読んで楽しい。ただ、『イデオロギーとは何か』と同じく一癖あるので、知識を取り入れたり文学理論を学ぶにはちょっときついものがある。
読了日:9月10日 著者:テリー・イーグルトン
ジーキル博士とハイド氏 (岩波文庫)の感想
1885年の高貴なる義務によって仕切られた世界から悪を解放した人間の愚かな末路。道徳小説として紹介されることの多い作品だが、視点は犯罪小説に近い。博士の口から語られる人間の二面性や善悪の問題には根拠がまるでなく、薬物に負けた罪悪感を理論付し転嫁しようとしているように読める。(このあたりはラスコーリニコフに近似)むしろ、新薬のもたらす開放感に溺れて殺人を犯してしまう犯罪者としての博士の姿は現代の薬物に溺れる精神虚弱者の姿を思い起こさせる。簡素だが非常に力強い小説だった。
読了日:9月5日 著者:R.L.スティーヴンスン,R.L.Stevenson,RobertLouisStevenson
ばくおん!! 5 (ヤングチャンピオン烈コミックス)の感想
わかる人はわかる路線だったのがわかる人は精神がやられて死ぬ系の話にランクアップしてる。 自転車に突っかかる中型、妙にプライドの高い飛ばし屋、追い抜いていった車両が後方で事故ってるとかある程度距離を乗れば、必ず遭遇する痛々しい場面の数々。極めつけはライダー二世の三人娘。レーサーの子に生まれたが故の知識と偏見にまみれた千雨、バイクの威光にすがりつく親の姿を見て育った凛、バイクブーム時代の同窓会に出席した恩沙の世間から取り残された感。殆ど逆説に違いネタの仕込み方だが、かなりえぐい部分をついている。怖い。
読了日:9月5日 著者:おりもとみまな
素晴らしき日々~不連続存在~
2010" ループゲーだと聞いて開いてみればジキルとハイドだった。視点を次々と変えることで明らかになる事実やそれに関係して解釈が変わっていく心理描写は見事という他ない。また、ベルジュラック等々の文学からの引用の他、会話の中に時折現れるニーチェやクザーヌスがいいスパイスになっていた。傑作。
クリア日:09月07日
9月の鑑賞メーター
観たビデオの数:4本
観た鑑賞時間:430分
グランド・ホテル [DVD] FRT-004
アカデミー・フランセーズが卒倒しそうな1929年の群像劇。小説、戯曲の映像化とはいえ、複数の筋や場所、人物の交流をこれだけ見やすい作品に仕上げたことは驚くに値する。当時としては複雑なプロットながら、ちゃんと大御所の演技をコントロールできているのも素晴らしい。 ガルボが嘆きの天使で見せた運命の女とはジャンルから違う演技をしているのが特に印象的だった。
鑑賞日:09月26日 監督:エドマンド・グールディング
嘆きの天使【淀川長治解説映像付き】 [DVD]
ドイツ1930年の運命の女。ディートリヒの肉体美を見出した作品として有名だが、ヤニングス演じる教授の見事なまでの転落ぶりも負けてはいない。権威で身を飾り、生徒や客を叱りつけながらもローラに言い寄る無口助平な“教授”が職と権威を放棄し薄汚い、ただのラートになっていく過程のなんと哀れなことか。落ちてなお教授時代のプライドにすがりつき癇癪を起こす場面や嗚咽と共に吐き出される婚約パーティーの一芸は涙なしに見ることはできない。
鑑賞日:09月24日 監督:ジョゼフ・フォン・スタンバーグ
ロボコップ (特別編) [DVD]
シャワーシーンを確認するために見た。 極東の島国に車から人工臓器の市場までもが奪われたアメリカはデトロイトで繰り広げられる血塗活劇。一片の同情の余地がないクラレンス一家に四肢を引き裂かれた警官が復讐する、ただそれだけのストーリーだが主人公への仕打ちやプレゼン中の事故、ロボコップの無機質な外観等々が他の作品では味わえない重みを与えている。
鑑賞日:09月22日 監督:ポール・バーホーベン
酔拳 (ドランク・モンキー) [DVD]
道を歩けば不良につっかかり、食堂に入れば食い逃げを……とどうしようまく屑な人間を矯正する話かといえばそんなことはなかった。拳で懲らしめようとしてきた被害者をボッコボコにして終わりなのだが、それがどうしようもなく面白おかしい。香港映画独特の「アイヤー」を連発しているから、はたまた片手に酒瓶を担いでいるからか、ジャッキーの“華麗”な泥酔故か。展開の速い物語は倫理観を超えることを証明してくれる傑作。
鑑賞日:09月10日 監督:ユエン・ウーピン
読了数: 26 冊
社主義の20世紀 第8回 歴史の空白は埋まるか
社主義の20世紀 第6回 おしつぶされた改革
社主義の20世紀 第5回 ポーランド市民革命
社主義の20世紀 第4回 カストロの選択
社主義の20世紀 第3回 一党独裁の崩壊
社主義の20世紀 第2回 バルトの悲劇
社主義の20世紀 第1回 守護の壁 恥辱の壁
社会主義の20世紀 プロローグ 大いなる実験
文化大革命 40年後の証言
BS特集+民衆が語る中国・激動の時代 ~文化大革命を乗り越えて~ 第1章 紅衛兵誕生へ
BS特集+民衆が語る中国・激動の時代 ~文化大革命を乗り越えて~ 第4章 改革開放への胎動
BS特集+民衆が語る中国・激動の時代 ~文化大革命を乗り越えて~ 第3章 下放・若者大移動
BS特集 民衆が語る中国・建国60年 第2章 人民公社と大躍進の時代
BS特集+民衆が語る中国・激動の時代 ~文化大革命を乗り越えて~ 第2章 造反有理の嵐
BS特集 民衆が語る中国・建国60年 第1章 新中国誕生
現代の驚異 監視の技術
現代の驚異 城と地下牢
現代の驚異 アウトバーン
現代の驚異 進化する映画館
現代の驚異 進化するビール