2013/06/01-

時間の無駄だから読まないほうがいいよ。

指輪物語とか

 冥王サウロンの野望を打ち砕くために指環を滅びの山へと運ぶ旅の仲間の物語。
 ヴァイキング風の絵面で故郷奪還と王への忠誠を描いたのがホビット 思いがけない冒険なら、この三部作は中世騎士物語の幻想文学を利用した読替えだといえるだろう。富の象徴でもある指環に心を奪われて一行を追う黒馬に乗った干乾びた王、魔法使いに心を狂わさて息子を失い失意のなかで親子の縁と王座について考えなおす王、偽りの王座を維持しようと横暴に振る舞った結果二人の息子を失い自ら火だるまになって身を投げる執政官、過去の裏切りに囚われ亡霊となった王と先王から引き継いだ剣をもって契約を締結する王子等々、アーサー王シャルルマーニュに登場するような忠誠と忠義、君主のあり方を示す物語がいくつも盛り込まれている。
 この作品の最大の特徴はオスマン帝国を彷彿とさせる無数のオークと騎士たちの戦いだろう。平原はトロールの軍楽隊に率いられたオークによって埋め尽くされ、甲冑で身を固めた人間、エルフの精鋭たちとエルフと何キロにも及ぶ面でぶつかりあって屍の山をつくり、まるまると太った大木のような戦象がその山を突き崩して生者も死者も問わずになぎ払う。
 追い詰めた人間の城は破城槌で城壁が打ち壊され、爆薬筒で石壁ごとバラバラに砕かれ、時には城ごと投石機でばらばらに解体し、また時には梯子で城壁を乗りこえられて片っ端から首が刎ねられる。スパルタカスのような作品を除けば、このような軍団同士が面でぶつかり合った作品はない。
 緑のなかでのほほんとパイプをくわえていたホビットと魔法使いの顔がだんだんとすすで汚れ、切り傷に顔を犯されて行く様子が強烈な印象を残す。