2013/06/01-

時間の無駄だから読まないほうがいいよ。

沖縄決戦とか日本のいちばん長い日とか

 シンゴジの影響で岡本喜八が話題にあがることが多くなったので、土日をつかって「沖縄決戦」と「日本のいちばん長い日」を観た。

 どちらも会議映画であり、(史実はどうあれ)現場の足を引っ張るのが陸軍上層部だという点では一致している。沖縄決戦では大本営の一定しない作戦指導のもとで部隊の引き抜きと移転、飛行機もないのに滑走路の建設が繰り返され、混乱した状況のママで戦闘に突入する。前半一時間は複雑に編まれた陣地と入り組んだ地形を利用して一時は優勢な日本軍も次第に米軍の放つ砲弾と白煙のなかで戦う術を失い、突撃と自決を重ねる屠殺場と化していく。小兵力でも打って出よという電報の虚しさが強烈な印象を残す。

 この「打って出よ」という言葉に惑わされ、引き際を見失った結果が「日本のいちばん長い日」だ。東京と大阪の大空襲に引き続いて、広島と長崎を原子爆弾によって失い、沖縄を占領され敗戦が目に見えている状況で、東京にいながら本土決戦を望む陸軍の人々は牛島を指導しようとした大本営と重なる。降伏条件が気に食わなければ本土決戦を、特攻機の出撃をと叫ぶ。終戦の勅書の作成時に「戦局日ニ非ニシテ」を「戦局必スシモ好転セス」に書き換えるように熱意を注ぐ様子は、撤退を転進と言い換え現実逃避を図った全陸軍と酷似している。「最高意思決定の段階では現実なるものはしばしば存在しない」とは48年後の1993年に荒川が呟いた言葉だが、これら二つの喜八映画ほど明確に表した作品はないだろうし、浮動する指導者たちの姿は確実にシンゴジラに引き継がれている。

「愚連隊西へ」と「血と砂」も見ておきたかったが、時間がないので断念。