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印象 2013/06/01-

オールタイムベスト http://efnran.hateblo.jp/entry/2016/01/01/000000

ニーベルンゲンの歌〈後編〉 (岩波文庫)

 血の復讐編。前編の見せかけの和解がじわじわと事態を悪化させていく。クリムヒルトは改心に見せかけてエッツェルと結婚し新たに従えた部下で復讐を企て、グンテルは和解したのだからと呑気に国へとはいる。(デンマークやブリュンヒルトの問題解決策をすべて他人に委ねていた彼らしい)。仲直りしたと思い込んでいる兄と復讐に燃える妹のすれ違いが哀しい。やがてフン族の王子の首は刎ねられ王妃の足元へ、雑兵は藁のように薙ぎ倒され、バイオリン弾きの指は飛ばされる。ごろごろと転がった死体の血は「酒よりもうまい」とハゲネらにすすられ、残ったものは戦闘の邪魔だと城から投げ落とされる。凄惨な光景がひたすら二百ページにもわたって綴られ、それを締めるようにハゲネの首が刎ねられる光景はゲルマン的忠誠や契約、情念の恐ろしさを思い知らせるものだろう。(ハゲネが「主君がいるかぎり宝の在処を吐かない」と断言した途端にグンテルの首が刎ねられるのが象徴的だ。契約は履行されなければならない)。

 前編ではジークフリトやブリュンヒルトが忠誠を誓いさえすればトントン拍子で物事が進んでいったのに対して、エッツェルはハゲネを前にして何度も怖気づいている。肝心の戦端をひらいたブルーデルも富と女を引き換えに動いており、ブルゴンドの連中とは随分と性質が違うのだが、これが当時のフン族の解釈なのだろうか。

p.39,91,162,190,208,225,260,265,234

 

 

ニーベルンゲンの歌〈後編〉 (岩波文庫)

ニーベルンゲンの歌〈後編〉 (岩波文庫)