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印象 2013/06/01-

オールタイムベスト http://efnran.hateblo.jp/entry/2016/01/01/000000

ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》バイロイト音楽祭2010 [Blu-ray]

指環とか

  読替えという意味ではシェローやクプファーの域を出ていない。メト版ほどではないにしろ、ほどよくわかりやすい舞台なのは、バイロイトお気に入りのティーレマンの指揮を邪魔しないように配慮してのことだろう。

 読替えではないが、フリッカとの論争中にもう一人のヴォータンが現れ音楽にあわせて内面を表現しているのは印象的だった。フリッカに脅される場面では本人とは別方向から睨み返し、ジークムントの殺害を決意する瞬間に鉾を真っ二つに折ってしまう。

 あと、ライティングもなかなかよかった。例えば第一幕の鍵であるノートゥングはサーチライトがジークリンデの歌と視点を追うようにして地面を履い、トネリコに突き刺さった状態で発見される。魔の炎は愛娘ブリュンヒルデを包む火炎は弦楽に促されるようにして灯っていくという具合だ。

 ちなみに第三幕の演出は白布に包まれた英雄の遺体をワルキューレが運ぶというもので、88年のクプファー演出を踏襲したものになっていた。

 全体的に面白いとは思うのだが、せっかくライトモチーフという他の劇にはない武器をもっているのだから、メトロポリタンのようなわかりやすさの罠にかかることもなかったのではないか、とも思う。振り付けにメタな意味付けをしたり他にやりようもあるだろうに。

 

 ティーレマンの指揮はなかなかのもので、弦楽を軸にして、残響音こみで観客を畳み掛けるようにして観客を襲う音の波は恐怖すら感じる。20世紀のハンス・クナッパーツブッシュと呼ばれるだけあった。