印象 2013/06/01-

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未来の芸術 バイロイト祝祭劇100年

 1976年までのバイロイトの歴史をワーグナーの生涯、参加した指揮者や演出家を追いながら紹介しているドキュメンタリー。パリオペラ座のブルジョア趣味に対抗してバイロイトの地が選ばれた話にはじまり、全木製の劇場構造、地下に設置されたことで独特な音場を獲得したオーケストラピット等々の定番の説明が並ぶ。

 ワーグナーの浪費癖やそれに振り回されたバイエルン王、コジマやマティルデをはじめとする女性遍歴については一切触れられていない。ヴィニフレートも一応は紹介されてはいるが、ヒトラーと握手をした人物程度の扱いだが、劇場の宣伝を兼ねた作品なので、汚い話をしないのは当然といえば当然か。

 面白かったのは音楽祭の稽古風景で、ヴィーラントやクナッパーツブッシュといった新バイロイトを支えた人々が歌ったり稽古をつけたりしている姿を観ることができる。舞台を走りまわって演技を指導するヴィーラント・ワーグナー、照明スイッチをいじくりまわすエバーハルト、無言で威圧しながら指揮棒を振るクナッパーツブッシュとノリノリでメロディを口ずさみながらワルキューレの調整をするカール・ベーム

(ただし、残念なことにカラー映像は一切ない。伝説的なクナのパルシファルやPHILIPSベーム指揮の指環の表紙を飾っている新バイロイトの照明がどのように操作されていたのか知ることができれば文句はなかったのだが)

 ドキュメンタリーはヴィーラント、ヴォルフガングの時代を総ざらいして、ブーレーズへのインタビューで締められる。彼はのちにシェローと組んで”あの”舞台を世に送り出すことになるのだが、それを示唆させるような雰囲気はない。このあとの大騒動のことを思うとわくわくさせる絵面だった。

 淡々としていて目新しい主張やらがないので得るものは少なかったが、戦後バイロイトを映像で眺めることができたのは良い経験だった。

未来の芸術 バイロイト祝祭劇100年 [DVD]

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