2013/06/01-

時間の無駄だから読まないほうがいいよ。

北欧神話と伝説 (講談社学術文庫)

 エッダとその周辺の伝説を集めたゲルマンアンソロ。神々の住処の建築費の支払いを迫る巨人と彼らから何とか逃げようとする神ヴォータン、その巨人を槌(と鉄手袋)で殴り追い落とす息子のトール、彼の力に幻覚によって勝利するロキ、彼らの世界を支えるユグドラシルの木と根元で世界の運命を見つめるノルン。最後には世界もろとも炎で燃え尽きてしまうところはナチズムの破滅願望に通じるものがある。ギリシア神話と同じくらいに汗臭いが、妙に近代っぽさも感じられる不思議な神話だ。

 注目すべきはジークフリート伝説の原型であるウォルスング家の物語だろう。多くの書物ジークフリート(シグルド)に焦点を絞っている中、本書は彼に至る流れを塩から発掘された神と巨人ユミルの間に生まれたオーディン、シグムントとシグルドの近親相姦とその結末までをひとつの流れを見渡せるようになっている。

 

北欧神話と伝説 (講談社学術文庫)

北欧神話と伝説 (講談社学術文庫)