2013/06/01-

時間の無駄だから読まないほうがいいよ。

火星の笛吹き (徳間文庫)

 40年代に向こうのSF雑誌で発表されたブラッドベリの初期作品を集めた短編集。まだ雑誌への売込み段階だったこともあってか、一発ネタ仕掛けの作品が多い。

 内容は宇宙船の外装に張り付いて地球を目指すおっさん、船内でとつぜん襲ってきたホームシックを船内生活をアメリカ様式に読替えて対抗しようとする飛行士、火星に記された(風化しない)女の足跡を巡ってけんかする二人の男、火星でこき使われていた笛吹きが音楽で星を崩壊させる話等々。

 火星年代記や黒いカーニバルのように形容詞の洪水マジックは使われていないため、いつものブラッドベリを期待すると落胆するかもしれない。ただし、華氏451の元祖である焚書官に本を暗記して対抗する司書の話や苛烈する軍拡競争を兵器の玩具化で軟化してしまう作品など、後々の作品に明らかに影響を与えているものも収録されている。若き日の彼を追うつもりなら手にとるべきだと思う。

p.19,39,40,81,209,229,239,262,266,290

 

火星の笛吹き (徳間文庫)

火星の笛吹き (徳間文庫)