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印象 2013/06/01-

オールタイムベスト http://efnran.hateblo.jp/entry/2016/01/01/000000

三月の読書鑑賞五選

 

 

  4DXにて七度目の鑑賞。ジュラシック・ワールド等で4DXは体験してきたけど、ここまで装置の特性を生かした作品ははじめてだった。主観ショット中の臨場感(戦車の振動に合わせて座席が揺れる)はもちろん、試合会場に漂う硝煙と火薬の匂いがそのまま客席へと流れこみ、擱座したISやKV2の装甲を叩く雨が観客を濡らし、輸送機が飛び立てば風が吹き荒れる。土の匂いがするとまではいかないが、技巧的にも非常に凝ったつくりの作品だ。
 戦車の搭載エンジンによって椅子の振動の数、強さを変えているのも素晴らしい。タイガーのマイバッハV12とセンチュリオンのマーリン(V12)は尻を叩くような痛さがあり、そのティーガーもポルシェタイプは別であっさりしていて、CV33はバイクのような気持ちよさがある。そのCV33もアイドリング中はゆったりとしていている。T-34とISももちろん違う。そういった、映像や音で表現できない戦車の個性を別な次元で表しているという意味で、非常に興味深い作品でもあった。

 

 

マン・オブ・スティール [Blu-ray]

マン・オブ・スティール [Blu-ray]

 

  12年の鉄の男。親の言いつけで超人力を封じていた男が異星人を前に苦悩する。
 ダイナミックな超人表現が印象的な作品だった。殴り飛ばされ地面や壁に”埋め込まれる”度に捲り上がる大量のアスファルト、キャッチボールのボールのように投げかわされるディーゼル機関車。摩天楼を縫うようにして将軍を追いかけている際中にソニックブームの衝撃でビルの壁が剥がれ落ちたり窓が四散する光景はカタルシスと共に美しいと思わせる力強さがある。

 

 

 

 ジャスティス・リーグ序章。圧倒的な力で悪をねじ伏せるスーパーマンとその影でビルの下敷きになっている人々を救おうとするバットマンの戦い。
 MOSに引き続いての破壊描写が魅力的な作品だ。前作に引き続いてソニックブームを何段階にも重ねながら超音速で空を飛ぶスーパーマン、レンガ造りの倉庫の壁を豪快にぶち破バットモービル。時には空からガトリングガンを吹き鳴らして敵地に大輪をを咲かせる。特に終盤の都市を更地に変えながらの戦闘にお言えることだが、飛び散る破片や光のぶつけあい、次々と落ちる雷等々のエフェクトの情報量はすさまじい。
 また弱ったスーパーマンと鎧で武装したバットマンの鈍い殴り合いも泥臭くて面白い。鋼の男たちが、たった4,5メートルの距離を投げ飛ばし合い、腹も顔もお構いなしに殴ったり蹴ったりする描写は圧倒的だ。
 スーパーマンの自警団的な振る舞いの影で犠牲になっている弱者に目を向けたり(ビルの間を吹き抜ける土埃は同時多発テロからの、瓦礫の下敷きになっていく女の子は明らかにガメラ3からの引用だろう)、ブルース・ウェインの彼の弱者を顧みない行動への憎しみと自分のファシズム的性質の間で板挟み状態になっている心理状況をフリッツヘルメットに襲われる悪夢として表現するなど、比喩的にも面白い。聴聞会の途中でホワイトハウスが炎上する場面は世界のパワーバランスを支配するスーパーマンをゲストとして招いたからこそ成し得た偉業といえるだろう。
 しかしながら、肉親の共通点や新たな敵の出現をきっかけに和解を提示するのであれば、ノーラン版のようなじめじめとした正義論を展開する必要はなかったのではないかと思う。ワンダーウーマンらとの合流をはじめ、ジャスティスリーグへの布石は的確なのだが、それらすべてが正義論の足を引っ張っている。(あるいは引っ張られている)「正義を行えば、世界の半分を怒らせる」状況は共同体の治安を左右する存在だから議論になるのであって、ヒーロー個人の問題ではないのだ。思わせぶりな正義論をぶつよりも、最初からマーサらヒーロー同志の人間関係に焦点を当てることでジャスティスリーグへの布石とすればよかったのではないかと思ってしまった。
 この映画はジャスティスリーグへの布石とノーラン版の政治劇的なスタイルの間で分裂しているように思える。

 

 

海軍めしたき物語 (1979年)

海軍めしたき物語 (1979年)

 

 

海軍主計科めしたき兵の霧島乗艦記。著者はかっこいいから海軍に、経理なら楽できそうだと思って主計科を選択したら料理に従事させられてしまったというユニークな経歴の持ち主。真珠湾攻撃の「総員見送り方」を”聞き流し”ながらの朝食作り、砲声や回避行動からくる揺れを体感しながらの戦闘配食の調理など、かまたき兵に負けないくらい区画に閉じこもって作業をしているのが印象的。運良く甲板から発艦する飛行機を見られたとしても、ぼやぼやしていたら殴られるのがオチというのも縁の下の力持ちらしい認識だと思う。
他にも巨大な回転鍋に”砂糖だけ”で味付けをした塩なし汁粉をつくってしまった話や、他科に水タンク使わせてもらうには命令とは別に主計科倉庫の砂糖を”賄賂”として渡す必要がある、ゴム長靴は贅沢だから新兵には支給しないなど、めしたき兵特有の文化も収録されていて、非常に非常に面白い。

p.8,17,46,68,94,96,108,112,133,

 

スーパーマンIV 最強の敵 [Blu-ray]

スーパーマンIV 最強の敵 [Blu-ray]

 

  87年の超人対決。太陽に投げ込まれたスーパーマンの遺伝子から生まれたニュークリアマンが彼の前に立ちはだかる。
 これまで国内でアメリカ人だけを救ってきたスーパーマンが国境を越えて人々を救う。フランスでは暴走した地下鉄を押し止め、イタリアではヴェスヴィオ火山の噴火に蓋をして、中国では乱闘で瓦礫と化した万里の長城を修復、宇宙では宙に投げ出されたソ連飛行士を救出。国連の席で核廃止を一人で宣言し、発射されたミサイルを片っ端から、それも米ソ問わずに片付けていく光景はソ連崩壊とグローバル化を控えた87年の”超”を象徴するものでもあろう。
 また、二作目のゾッド将軍以来の超人対決だけあって、表現にも様々な変化があるのが嬉しい。地面に杭のように打ち付けられるスーパーマン、各階の窓ガラスを一枚一枚撒き散らしながら天井を突き破っていくニュークリアマン、熱線で曲げられる小銃、ニューヨークは摩天楼に落下する自由の女神。アクションの技巧は前三作のいずれにも劣らない出来栄えだ。