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印象 2013/06/01-

オールタイムベスト http://efnran.hateblo.jp/entry/2016/01/01/000000

カジノ・ロワイヤルと慰めの報酬 ボンドの感情整理が終わるまで。

 

 

 反政府勢力への資金提供者と女王陛下のMI6の資金争奪戦。
 町中でのアクロバットな追いかけっこに飛行場でのカーチェイスとアクションは少々、最大の見せ場はカジノでのポーカーゲームでの読み合い毒と盗聴器の仕掛け合い。ミサイル搭載型のボンドカーやタバコピストルのような秘密兵器、Qさえも登場しないが、アクション一つ一つにぶつ切りにした回り込みなどの複雑なカメラワークや目にも留まらぬ速さのカット割が盛り込まれている。ポーカーゲームも手札さばきやゲームコインがマットに跳ねる音が美しく、地味ながら中々飽きさせない。
 衣装を変える毎、化粧を変える度に別人のような演技、印象を残すエヴァ・グリーンも素晴らしい。
 アフリカでの金のやりとりにはじまり、同時多発テロでの株取引やそれの再来を狙う組織とやりあうなど設定は現代的だが、作品の見せ方はロシアより愛をこめてのコネリーボンドを思い出させる。不思議な作品。

 

  女王陛下のMI6と後進国マッチポンプ式環境産業を展開する闇組織の追いかけっこ。
 カジノ・ロワイヤルでヴェスパーを失ったボンドの復讐心の行方がテーマ。前作同様に無表情でヴェスパーと接点を持っていた人間を片っ端から殴り殺し、撃ち殺していく時の不気味なボンドが、今作のボンドガール、カミーユによってに諭され内省し変わっていく。家族を皆殺しにされ、復讐心に囚われたカミーユに諭されるボンドにはいつもどおり感情はなく、嗚咽することもないが、ふらふらとした仕草が人間の弱さを表している様に見えるのが面白い。
 コネリー時代のスペクターのような巨大組織を予感させる表現も盛り込まれている。正装の老人たちが小型マイク片手にアフリカやロシアの紛争地帯について語り合う光景、よく喋り女に絡むことで自ら小物だと臭わせるドミニク・グリーン、森林迷彩姿で金歯を光らせる南米将校はいつでも組織から切り離される用意があるような印象を残してくれる。
 ただし、前作同様に格闘シーンでは、拳を振りかぶってから落とすまでを三段階ぶつ切りで、ハイローと様々なアングルをかなりのスピードで切り替えているため見辛い。ほとんど俯瞰から状況説明をしていないことも混乱させている。
 被写体サイズが大きいため迫力自体はある。ゴムボートが爆発するときに飛び散る水しぶき、工事現場の足場においてあるガラスや安全柵をいちいち叩き割ったり、エアチェイス中にやたらエンジンや風を切るコックピットのクローズアップは気持ちが良かった。
 映像的には散漫な印象のある作品だが、クレイグという難しい人材を採用しながら内面も描くことができているので、総合的には良い映画だったと思う。

 

 カジノ・ロワイヤルはBD、慰めの報酬はDVDと別々の媒体で見た(だから、登録している)のですが、ソフトが違うと印象はまったく違いますね。BDでは火花や水が飛び散る様子や質感(鏡面塗装された車が乱反射する光)といった、繊細なものがくっきりと見ることができます。特に007は高級車が毎度のウリで、鏡面塗装された車がこれでもかと登場しますが、これもDVDとBDでは見え方が違います。劇場で見れば……というところまでいくと、もう望みはないので言うだけ無駄ですが、この作品はBD観た方が良いと思った作品でした。