少女終末旅行
殻都市の夢を読んだついでに再読。いわゆる心地良い破滅もので、主人公らはケッテンクラートで廃墟をめぐり、時々発電所の冷却塔から漏れ出したお湯でのんびり風呂をつくったり、中心部から流れてきた雪解け水で洗濯したり、行き場を失った魚を焼いて食ったり、残された都市機能に合わせて生きている。
渚にてやザ・ロードのように、迫り来る死の灰や盗賊に怯えたり、発電機を稼働させて文明を再興するというような汗水たらす場面は一切存在せず、あくまで受け身で、心地よく破滅を迎えようとしている。
殻の都市とは違ってビル群を修復する人々はどこかに消え、崩壊するにまかせているのだが、そこに文明や生活感への未練はない。
要約すれば二人の少女が滅び行く世界を彷徨うだけのマンガなのだけれど、何の目的もなく二人がケッテンクラートで先へ先へと進むうちに、意味を持たないことが素晴らしいことのように思えてくる。心地よい作品だった。
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