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印象 2013/06/01-

オールタイムベスト http://efnran.hateblo.jp/entry/2016/01/01/000000

四月の読書やら鑑賞やら

 

猿の惑星 [DVD]

猿の惑星 [DVD]

 

 

(68)人間と猿の立場が逆転した世界の物語。脚本に関わった人々が赤狩りや日本兵の監視下で働いていた事や石打のシーンから風刺劇として語られる事の多い作品だが、猿以外の知的生物の発見という人類のアイデンティティの揺らぎや、それに対する猿視点からのガリレオ裁判風進化論批判を描写することで政治劇にもSFにも囚われない視野を確保している。チャールトン・ヘストンの孤独と不安定感を常に意識させるカメラワーク、ジェリー・ゴールドスミスの不協和音など視覚的にも非常に魅力的な名作。
鑑賞日:04月14日 監督:フランクリン・J・シャフナー

 

 

(11)猿の革命。父の認知症治療のために実験薬を盗み出した神経学者、銃殺された母の影を背負い革命を求める猿が出会い世界を混沌の渦へと巻き込んでいく。血縁を軸に物語が展開していく様子はまるで、オイディプスの複合的悲劇のようだ。単に悲劇的要素を押し込むだけではなく、ゴリラやオランウータンといった他種との関係をやくざ的に描くことで任侠映画としても見ることができるようになっており、視野の広さに驚かされる。 CGIの活用により再現可能となった猿の容姿、四足から二足歩行への段階的な進化や喜怒哀楽、たどたどしい口調等々の細々とした劇的要素
鑑賞日:04月21日 監督:ルパート・ワイアット

 

 

猿の惑星:新世紀(ライジング) (字幕版)

猿の惑星:新世紀(ライジング) (字幕版)

 

 


(14)猿は猿を殺さない法によって実現したユートピアが人間との再遭遇によって内部から崩壊する。大筋は最後の猿の惑星からの引用だが、人と猿を共同体、文化の次元でまったく共通点のない別の世界とすることで断絶をより強固なものとして描写。戦争も防衛というよりは種の存続をかけた殲滅戦となっている。それ故に(旧作とは異なり)物語が進むごとに政治的駆け引き、戦争の惨さと止めることの難しさ、そして何より第一作のような容赦ない状況の原因が肌でわかる様になっている。草に埋もれたガソリンスタンドやツルの絡んだゴールデンゲートブリッジなど旧作の終末感も引き継いでおり、素晴らしいリメイクとして仕上がっていた。
鑑賞日:04月21日 監督:マット・リーヴス

 

マタギ [DVD]

マタギ [DVD]

 

 


(82)伝説の渡りグマを追う老マタギマタギ犬を育てる孫の執念と情愛の物語。楢山節考にあった村は遥か昔、量産された防寒着やストーブで暖を取るような、マタギが過去の遺物となりつつある寒村で執念だけを頼りに、鉛を流し込んで弾を自作し、秋田の雪山を鉄砲を担いで踏みしめる老西村晃の姿が圧巻だった。マタギ犬の演技もなかなかのもので、ぬいぐるみで動物を襲うことを学び、毛皮や脂を食して熊の臭いを嗅ぎ、だんだんと祖父のように眼光をぎらつかせた姿に成長していく様子は正に獣だった。晩年の西村晃の険しい演技と東北の寒さが身にし
鑑賞日:04月26日 監督:後藤俊夫

 

ハクメイとミコチ 1巻 (ビームコミックス)

ハクメイとミコチ 1巻 (ビームコミックス)

 

 


虫と話し合いながらのぽんかんの木の下のキャンプから様々な生き物で溢れかえる街、何でも修理屋にマッドサイエンティストと多様な風景がひたすら幻想的。世界観の魅力に加えて、ハクメイとミコチの動きや会話が民俗誌的な雰囲気を醸し出しており、刺激的な作品でもあった。
読了日:4月2日 著者:樫木祐人

 

 

2015年4月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:4817ページ
ナイス数:57ナイス

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)感想
1945年の反抗期、放校青年が社会や他人への不安、不満、喜びを心の中で叫び続ける。段落といえるほどの区切りはほとんどなく、内容も目に映った情景やそこから連想される思い出を綴るのみ、社会に対する不満にしても、ただひたすら感情をぶちまけるだけで、きちんと“批判”する様子はまったくない。全体としては支離滅裂としか言い様がないが、だからこそ懐かしい。だからこそ、少年少女はホールデンに共感できる。祝福の言葉に
読了日:4月29日 著者:J.D.サリンジャー
田中ロミオの世相を斬らない田中ロミオの世相を斬らない感想
なんと言われようがこれがエロゲーの売り方なんです。商品単体のバリューを高めるより、ライターの名で売り込む方が注目されるんです。ライター買いする客は正直500人もいませんが、経営サイドが仕事した気になるためには必要な儀式=この本。いや、純粋なエロゲーマーがこれを読んで嬉しがるとは思えないが。むしろ試される?
読了日:4月28日 著者:田中ロミオ
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 (ガガガ文庫)感想
がっしゅく。カレーをつくったり肝試しをしたり、普通のラノベなら仲良くなるイベントのはずなのに、すべて八幡の負のスパイラル(パターン化している)で終わっているのが面白い。嗚呼、ヤマアラシのジレンマ。
読了日:4月28日 著者:渡航
灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)感想
国家権力(校則)を盾にカーストの頂点に立ち、規律と統制ある学校生活を目論む高二病系女子の物語。今作のヒロインもAURAの孤高の中二病患者と対をなす人格を持ちながら、やはり大気中の成分(空気)を分析することはできない。権力側故に空気が読めなくても中二病のようにいじめられることはないけれど、代わりに学級崩壊を呼び込む様子は他人に合わせなければ生きて行けない世間を反映しているようで恐ろしい。前作と真逆のヒロインを軸に学内政治を描くという実験的な試みは面白かったが、如何せんキャラクターの立ち位置とロミオの作風
読了日:4月27日 著者:田中ロミオ
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3 (ガガガ文庫)感想
プレゼントを渡すとか、譲歩して問題の解決を図るとか、ちょっとしたところで精神的に進歩している所が微笑ましい。相変わらず、世間への憎しみは人一倍な割に、善意の押しつけとかあっさりとした和解とか三角関係っぽいものとか、目の届く範囲の人間関係が単純なところは中学生だけど。
読了日:4月26日 著者:渡航
ハクメイとミコチ 3巻 (ビームコミックス)ハクメイとミコチ 3巻 (ビームコミックス)感想
浪花節とはじめての呑み屋探し等々。世界観はおなじなのに、こうも話の展開を変えられるものかと感心した。ミコチらに引きずられて飲み屋を回る親方の細微な変化がたまらん。
読了日:4月26日 著者:樫木祐人
ハクメイとミコチ 2巻 (ビームコミックス)ハクメイとミコチ 2巻 (ビームコミックス)感想
染色に道路補修に散髪と仕事絡みの話が多くなった。民俗的な雰囲気は少なめだけど、代わりに登場した糸切狭に斧ノミ散髪鋏に砥石と道具類のディテールやそれを使う職人たちの一挙一動が美しい。道具や御飯がキャラクターの魅力と共存している素晴らしい一冊だった。
読了日:4月24日 著者:樫木祐人
ユリイカ2012年8月号 特集=クリストファー・ノーラン 『メメント』から『インセプション』、そして『ダークナイト ライジング』へユリイカ2012年8月号 特集=クリストファー・ノーラン 『メメント』から『インセプション』、そして『ダークナイト ライジング』へ感想
GoPro的な主観視点を意識したカメラワーク、映画的時間の流れを無視し、主観的な意味付を意識した編集など、意外にもノーラン本人へのインタビューが面白かった。)編集について長々と質問するなら、ジョナサンとの役割分担がどうなっているかまで聞いて欲しかったが、欲張りか。) その他はインソムニアまでの推理小説的な編集(迷路のような困難とその中で消極的に誘導される主人公(インソムニア)、ロジカルな夢構造(インセプション)についての考察で、
読了日:4月24日 著者:クリストファー・ノーラン,大友啓史,斎藤環,宮沢章夫,福嶋亮大
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫)感想
一巻に引き続いて傷の舐め合いなのか、互いににらみ合いたいのかわからない不安定な人間関係、安易な先読みで他人の家庭事情の探索、奉仕部関係なしの姉弟のハートフルに終わる謎エンディングと落ち着きのない本だった。
読了日:4月24日 著者:渡航
AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)感想
ロミオ版中二病でも恋がしたい!  ヲタメタラノベが流行りだす前の作品だが、はがないのように傷の舐め合い部をつくることも、俺ガイルみたいに心痛を吐露することもなくなく、真っ当にリア充と向き合おうとしている辺りにまだまだ価値のある作品。スクールカースト内部で脱中二を目指し(大気中の成分(空気)を分析し、買い物に付き合い男女分け隔てなく付き合い、世間と向き合う)主人公と(深夜/授業中徘徊)を繰り返す中二病ヒロインの対比的な描き方が、いい具合にヲタクの気持ち悪さを思い知らせてくれる。 ユメミルクスリのときも思った
読了日:4月23日 著者:田中ロミオ
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)感想
きちんとスクールカーストから締め出されていることや、いじめや過去のトラウマと向き合っているはがない。傷の舐め合いが部の方針となっているあたりははがないと一緒だが、部室を単なる娯楽共有の場所していないのが斬新。部員同士がぎすぎすしていて、中々手の内を見せないのも良い。 キャラクターが社会性を持たないところがガガガらしくて良いと思うが、一巻の時点では各人物のプロフィール紹介にとどまっているので、物語としては評価不能。
読了日:4月22日 著者:渡航
キッチン・コンフィデンシャル (新潮文庫)キッチン・コンフィデンシャル (新潮文庫)感想
ニューヨークのLes Hallesのシェフにして、ディスカバリーの世界を食らうシリーズ・リポーターの回想録。帯の通りの汚物まみれの暴露本である一方で、それが過酷な職場環境から自然に生まれ出るものであることを示している。目にもとまらぬ速さで次々と持ち込まれるオーダー、熱風を吐き出し人の肌を焦がすガスレンジ、そんな中でダンスを踊るように、熱した鍋を持ち、包丁で指を切り刻みながらもテキパキと調理していく料理人。リズムの崩れとオーダーを処理できなくなる事を何よりも恐れ、肉体の
読了日:4月17日 著者:アンソニーボーデイン
俺の彼女が×××を期待していて正直困る (ヤングキングコミックス)俺の彼女が×××を期待していて正直困る (ヤングキングコミックス)感想
内面描写抜きですれ違いを描いているあたりがきづきあきらみたいなんだけど、仲直り手前からはちゃんと秋★枝だった。いつもの「両思いだからこそのすれ違い」がないので、壁ドン欲求はわかなかった。
読了日:4月12日 著者:秋★枝
ブラッド・ミュージック (ハヤカワ文庫SF)ブラッド・ミュージック (ハヤカワ文庫SF)感想
基地外科学者によって生み出された「知性ある細胞」がエントロピーの拡散を防ぐために人類をひとつにまとめあげて観測機能を奪い取る、いわばシュレディンガーの肉塊。パンデミックにはじまり、ガイア化、分業化を果たした細胞とのファーストコンタクト、一度混沌と化した精神から再度エミュレーションされた人格、宇宙を安定させるための精神加工等々、400pに収められたのが不思議なくらいのアイデアが詰め込まれている。セカイ系の先駆け的存在としてのみ語られる作品だが、設定と読者の予備知識を顧みないダイナミックな構成は一度手に取って
読了日:4月12日 著者:グレッグ・ベア,小川隆
映画で英詩入門 愛と哀しみ、そして勇気 (平凡社ライブラリー)映画で英詩入門 愛と哀しみ、そして勇気 (平凡社ライブラリー)感想
洋画の中の英詩。映画に登場する様々な英詩を取り上げ、その詩の来歴と作中でそれがどのように機能しているかを解明していく。入門というだけあって、映画はタイタニックから哀愁、詩もロレンスからミルトン、シェイクスピアまで時代やジャンルを問わずに幅広く取り上げている。「勇気あるもの」のようにメタな詩もセレクトされているのが新鮮だった。
読了日:4月5日 著者:松浦暢
深海魚のアンコさん(3) (メテオCOMICS)深海魚のアンコさん(3) (メテオCOMICS)感想
「あの子は使い捨てタイプだった」とか同性に発情するプレコとか、人魚の特徴どうこうの前にエロがきているのが非常に良い。愛を感じる。
読了日:4月4日 著者:犬犬
のんのんびより 8 (MFコミックス アライブシリーズ)のんのんびより 8 (MFコミックス アライブシリーズ)感想
相変わらず間の取り方と田舎の空気感がマッチしていて素晴らしい。覆面れんちょんに幼児化する蛍といったロリコンから中学生日記的な視野まで確保しているのは流石。
読了日:4月2日 著者:あっと
ゆるゆり (13)巻 特装版 (IDコミックス 百合姫コミックス)ゆるゆり (13)巻 特装版 (IDコミックス 百合姫コミックス)感想
あかりのサイズが変わる話やわらしべ長者的などたばたの連鎖など実験的な話が多かった印象。前巻前々回が女子会漫画と化していたので、こういうひねった話に回帰したのは素直に嬉しい。
読了日:4月2日 著者:なもり
ハクメイとミコチ 1巻 (ビームコミックス)ハクメイとミコチ 1巻 (ビームコミックス)感想
虫と話し合いながらのぽんかんの木の下のキャンプから様々な生き物で溢れかえる街、何でも修理屋にマッドサイエンティストと多様な風景がひたすら魅力的。世界観の魅力に加えて、ハクメイとミコチの動きや会話に生活感があるので、まるで民族誌を読んでいるようだった。
読了日:4月2日 著者:樫木祐人

読書メーター

 

4月の鑑賞メーター
観たビデオの数:17本
観た鑑賞時間:2106分

マタギ [DVD]マタギ [DVD]
(82)伝説の渡りグマを追う老マタギマタギ犬を育てる孫の執念と情愛の物語。楢山節考にあった村は遥か昔、量産された防寒着やストーブで暖を取るような、マタギが過去の遺物となりつつある寒村で執念だけを頼りに、鉛を流し込んで弾を自作し、秋田の雪山を鉄砲を担いで踏みしめる老西村晃の姿が圧巻だった。マタギ犬の演技もなかなかのもので、ぬいぐるみで動物を襲うことを学び、毛皮や脂を食して熊の臭いを嗅ぎ、だんだんと祖父のように眼光をぎらつかせた姿に成長していく様子は正に獣だった。晩年の西村晃の険しい演技と東北の寒さが身にし
鑑賞日:04月26日 監督:後藤俊夫
デンデラ [DVD]デンデラ [DVD]
楢山節考をベースにした婆戦記。続編的な作品だが、今村作品のようにやせ細った老人はここにはいない。村の掟通りに七十歳を越えて捨てられた浅岡ルリ子は倍賞美津子によって「小娘」と吐き捨てられ、山本陽子は村への怒りを込めて藁人形を突き殺す。メイクよりも生々しい、本物の皺を持った女たちが暴れまわる。 襲撃を妨害した熊がいつのまにか自然を代表するものに成り代わっていたり、そも熊の造形やカメラワークがあれだったり、そのせいで主題がどうのという批判もあるが、彼女をスクリーンに写すというコンセプトだけは間違いなく完璧に実
鑑賞日:04月26日 監督:天願大介
楢山節考 [DVD]楢山節考 [DVD]
東北の寒さに磨き上げられたひとつの村の物語。原作をそのままに映画せず、同著に村の日常を綴った東北の神武たちを追加し、姨捨山を村の厳しい生活事情の行く先としてシステマティックに説明している。夜這いと出産、盗人私刑に子殺し姨捨山等々のこれでもかというくらいに洗練された村のシステムとそれに追従する母、それを泣きながらも背負う辰平、時折、挿入される蛇や蛙の交尾が見事に絡み合い、人の生が如何に強く、また儚いものかを思い知らせてくれる。
鑑賞日:04月25日 監督:今村昌平
猿の惑星:新世紀(ライジング) 3枚組コレクターズ・エディション (初回生産限定) [Blu-ray]猿の惑星:新世紀(ライジング) 3枚組コレクターズ・エディション (初回生産限定) [Blu-ray]
(14)猿は猿を殺さない法によって実現したユートピアが人間との再遭遇によって内部から崩壊する。 大筋は最後の猿の惑星からの引用だが、人と猿を共同体、文化の次元でまったく共通点のない別の世界とすることで断絶をより強固なものとして描写、戦争も防衛というよりは種の存続をかけた殲滅戦。それ故に(旧作とは異なり)物語が進むごとに政治的駆け引きのない戦争の惨さ、止めることの難しさ、そして何より第一作のような容赦ない状況の原因が肌でわかる。草に埋もれたガソリンスタンドやツルの絡んだゴールデンゲートブリッジなど終末感溢
鑑賞日:04月21日 監督:マット・リーヴス
猿の惑星:創世記(ジェネシス) [Blu-ray]猿の惑星:創世記(ジェネシス) [Blu-ray]
(11)猿の革命。父の認知症治療のために実験薬を盗み出した神経学者、銃殺された母の影を背負い革命を求める猿が出会い世界を混沌の渦へと巻き込んでいく。血縁を軸に物語が展開していく様子はまるでギリシャ悲劇。単に悲劇的要素を押し込むだけではなく、ゴリラやオランウータンといった他種との関係をやくざ的に描くことで任侠映画としても見ることができるようになっており、視野の広さに驚かされる。 CGIの活用により再現可能となった猿の容姿、四足から二足歩行への段階的な進化や喜怒哀楽、たどたどしい口調等々の細々とした劇的要素
鑑賞日:04月21日 監督:ルパート・ワイアット
カッコーの巣の上で [Blu-ray]カッコーの巣の上で [Blu-ray]
(74)精神病院で灯されたカウンターカルチャー最後の灯火。ルイーズ・フレッチャー率いる黒人の番人たちから自由を取り返そうともがくニコルソンと仲間たちの物語。ほとんど演劇的とも言える舞台装置やカメラワークを採用している作品だが、ブラッドが吃音で吐いたり、ダニーがキョドりながらトランプのルールを無視してゲームを進めようとする演技がやたらと生々しく、強烈なインパクトを残す。極めつけはジャックの演技で、シャイニングで魅せた意味不明な挙動に深く憂いのある表情が加わり殆ど人外的。殆どバストショットで撮影されており、見
鑑賞日:04月20日 監督:ミロス・フォアマン
シャイニング [Blu-ray]シャイニング [Blu-ray]
(80)作家業と悪霊に憑かれたニコルソンと不思議な少年の追いかけっこ。キューブリック作品としては演技に重点が置かれた作品で、目をぎょろぎょろさせながら斧を振り回すニコルソン、目を泳がせながらふらふらとホテルを彷徨うデュヴァル、何かに取りつかれたように宙に喋りかける・ロイドらの演技が兎に角すさまじい。演技重視といえど、幾何学的なセットやカメラワークは健在で、異常なまでに収束点が強調された廊下、斜めに配置された酒場の椅子、構造式のような絨毯は目眩を覚えた。脚本も比較的読みやすく、エンターテイメントとしても楽し
鑑賞日:04月18日 監督:スタンリー・キューブリック
PLANET OF THE APES/猿の惑星 [Blu-ray]PLANET OF THE APES/猿の惑星 [Blu-ray]
「動物が人間を道具的にあつかう世界」のみを再現するという観客のための視覚表現に特化した最大公約数的な作品。ブチギレ時や戦闘時にセード将軍の見せる驚異的な跳躍がとにかくすごい。 思想的には猿が人間を奴隷としてあつかい、また罵詈雑言を吐くといった共通点はあるものの、宗教裁判や聖書の読み上げといったものは皆無。
鑑賞日:04月18日 監督:ティム・バートン
最後の猿の惑星 [Blu-ray]最後の猿の惑星 [Blu-ray]
(73)征服で描かれた革命、そして未来の第一作で重要な鍵を握る核戦争直後の物語。世界を滅ぼした野蛮な人間とは違い「猿は猿を殺さない」、弾圧に用いられたNoは発言を一切禁じる等々の政治的なガジェットが面白い。特に革命の原動力であり、優生思想の根本である猿の平和主義的性質がゴリラとの対立を巡って崩壊していく様子はシリーズの思想的な根幹に触れていて感慨深い。ただ、差別意識の萌芽、分裂寸前の共同体など魅力的な要素は多いのだが、その多くがシーザーのカリスマ性へと和平へと解体され機能していない。EDも人間と猿の共存
鑑賞日:04月18日 監督:J・リー・トンプソン
猿の惑星・征服 [Blu-ray]猿の惑星・征服 [Blu-ray]
(72)猿による猿のための猿による革命。前作で言及された通りにペットが死滅し、猿が代わりに愛玩兼奴隷となった世界でコーネリアスの息子が武器を手に取る。一作目のような思想性は少ないものの、タートルネックをまとったモズレーもどきの知事、24時間巡回し猿をコキ扱い、拡声器で怒鳴り散らすイギリスファシスト連合を真似たような治安組織などディストピア的なガジェットが中々良く出来ており、政治風刺として楽しめる。息苦しい描写が多い分、シーザーがナイフや銃をかき集める様子や放棄し人間を絞め殺す姿にはカタルシスさえ覚え
鑑賞日:04月15日 監督:J・リー・トンプソン
新・猿の惑星 [Blu-ray]新・猿の惑星 [Blu-ray]
(71)1971年過去への旅。原作の「人類の文明を引き継いだ猿」のビジュアルを舞台を70年代に移して再現。コーネリアスはスーツを着用、ジーラは婦人会に参加したりパーティーでワインに舌鼓を打つなどシリーズ中最も和やかな雰囲気の作品。趣向を変えたは良かったが、前半の動物園収容までのプロセスや園内の待遇、後半の追跡劇が博士の私怨に基づくもので群衆心理にまで踏み込んでおらず、全体的に動機付けが甘い。そのため、差別を主要テーマとして描いてきた前後の作品と比べると、設定の派手さが先行して猿の惑星を見失っている感がある
鑑賞日:04月15日 監督:ドン・テイラー
続・猿の惑星 [Blu-ray]続・猿の惑星 [Blu-ray]
(70)ミュータント対モンキー。プラカードを持って戦争反対を訴えるチンパンジー、オランウータンとゴリラの政治対立、核爆弾を崇拝し、放射能の洗礼を受け、超能力で精神を汚染するミュータント等々70年代の世相を反映した追加設定が独特な作品。起立したICBMを崇める人々に漂う終末感が特に良い。 個々の要素は興味深いが、壮大な風景やセットを台無しにするTVドラマ的なバストショットやカット割りの連続、(前作を意識してはいるが)場面転換時に派手に用いられるクローズアップが作品の雰囲気をぶち壊していており、なんともちん
鑑賞日:04月14日 監督:テッド・ポスト
猿の惑星 [Blu-ray]猿の惑星 [Blu-ray]
(68)人間と猿の立場が逆転した世界の物語。脚本に関わった人々が赤狩りや日本兵の監視下で働いていた事や石打のシーンから風刺劇として語られる事の多い作品だが、猿以外の知的生物の発見という人類のアイデンティティの揺らぎや、それに対する猿視点からのガリレオ裁判風進化論批判を描写することで政治劇にもSFにも囚われない視野を確保している。チャールトン・ヘストンの孤独と不安定感を常に意識させるカメラワーク、ジェリー・ゴールドスミスの不協和音など視覚的にも非常に魅力的な名作。
鑑賞日:04月14日 監督:フランクリン・J・シャフナー
インターステラー ブルーレイ スチールブック仕様(2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]インターステラー ブルーレイ スチールブック仕様(2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
70mmフィルムを使用した最後の作品らしい。特典メイキングを見ているとIMAX撮影への投資はいわずもながら、実物大のレインジャーやランダーのセットをつくったり、実物大の模型をアイスランドに持ち込んでロケしたり、それを爆破したり、教会を貸し切ってハンスジマーとオケをぶち込んで作曲させたり、前半三十分のためにトウモロコシ畑をつくったり、湯水のごとく金を掛けていて唖然とさせられる。デヴィッドリーンもそうだが、こういう観客受けよりも実験的なドラマや演出ができる人間に活躍の場を与えているアメリカという国のおそろしさ
鑑賞日:04月10日 監督:クリストファー・ノーラン
アポロ13 [Blu-ray]アポロ13 [Blu-ray]
(95)アポロ13号爆発事故を飛行士、管制塔、家族の視点から描いた作品。殆どスタジオで製作された作品ながら、模型とCGによって再現されたサターン、打ち上げ際の舐めるようなカメラワーク、執拗なドッキング練習描写、(高度変更中の機内で撮影された)無重力状態の機内で踊る飛行士によって、宇宙ものにしては希に見る臨場感を獲得している。俯瞰的な映像を提供せず、飛行士と管制塔のやりとりのみで状況を表現するやり方も緊迫感があって良い。ただ、ファンファーレからはじまる古典クラシカルな
鑑賞日:04月07日 監督:ロン・ハワード
ザ・ムーン スペシャル・エディション [DVD]ザ・ムーン スペシャル・エディション [DVD]
米国の宇宙開発史を飛行士の視点から描いた記録映画。ライトスタッフの誕生からマーキュリー計画ジェミニ計画、アポロ計画における月面着陸までを飛行士のインタビューを通して描いている。発動機の振動で発射時は機械類を操作することができなかったこと、発射台の構造物にぶつかりそうになったことや月面着陸組から離れて、司令船に残ったコリンズの心境などのエピソードが興味深い。ライトスタッフ等と同じく科学技術や具体的な訓練メニューについては言及を避けており、作中でも語られている「科学的価値」はこの作品自体にはない。
鑑賞日:04月04日 監督:デイヴィッド・シントン
ライトスタッフ [DVD]ライトスタッフ [DVD]
(83)マーキュリーセブンの誕生から宇宙進出までの物語。東西の対立やナショナリティ、家にずけずけと上がり込んでマイクを向けるマスコミに流されず、ひたすら自分のプライドのためにロケットに乗り続ける男の魂がただただ眩しい。安全に配慮しようとするフォンブラウンらとのブリーフィングやロケットの設計改善についての“会話”や発射場面でも細かい準備描写を一切省き、一貫したパイロット信仰ともとれる内面描写を三時間にも繰り返す様子にはただただ圧倒されるばかり。 ジョン・グレンの周回軌道をひたすら主観ショットで捉えるなど、
鑑賞日:04月03日 監督:フィリップ・カウフマン

鑑賞メーター