三月の読書鑑賞ベスト

ベスト５

日本兵器総集 太平洋戦争版の感想
昭和52年の戦友会総覧付きの丸別冊。実際に運用した人々が生き生きとしていた頃に書かれたからなのか、小銃から戦艦までかなり丁寧に解説されている。スペックを並べるだけではなく、実際の運用方法や戦歴、建造経緯を詳述してくれるので兵士らの思い入れが伝わってくる。ロンドン軍縮条約を「日本の重巡をこのへんでのさばらせないようにしたいという英米側の魂胆」、伊号四○○を「高度の建造技術は、当時の日本海軍の達した水準の高さを実証するものである」あたりは火傷するような熱さを感じた。
読了日：3月4日 著者：

南海の花束 [DVD]
歌にも歌われた「南洋航路」を開拓せんと飛行艇を操る男たちの物語。実写と特撮を交えてつくられた飛行艇の姿がひたすら美しい。特に九七式飛行艇が水を切って離着水したり防風の中を突っ切る様子は必見。嵐の中で無理な運行を強要する支所長、その判断を正当化する強引な展開など少なからず国策映画風の色付けがされているが、同じくらいに操縦士達の内面描写に力が入っているため何となく安定感がある。むしろ空戦描写がなくても、これほどの話が創れるのかと感動した。「南海の花束」の意味が明かされるラストは切ない。

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)の感想
全体主義が失敗し鉄のカーテンの向こう側が未だはっきりしていなかった1949年に刊行された1984年の管理社会。 冷戦を模したような世界情勢の下でぐるぐる回り続ける戦時経済、トロツキズムの亡霊が動かす党、その戦時体制への不満を昇華するための五分間憎悪なる政治集会、価値判断の形成を阻止するための歴史改竄、思考停止技術を磨くための新語法等等のガジェットがパズルのように世界を固めている。物語としての価値はさておいて、ガジェット同士の間に隙間が見えない世界観が非常の美しい。 過去に支配された狂人ウィストンの哀れなこ
読了日：3月28日 著者：ジョージ・オーウェル

▼やったゲーム
METAL GEAR SOLID 3 SUBSISTENCE(初回生産版)
1962年のロシア南部を舞台にした諜報活劇。キューバ危機、トンキン湾事件、フルシチョフ失脚が続いたこの年この世界を一本の線でまとめた設定が不気味。ナム戦を思わせる密林の中、わらわらといる兵士の目を迷彩、麻酔銃、時には変装を駆使して掻い潜るのが楽しかった。オチが突飛なのはいつものことと諦めるべきか。

メカゴジラの逆襲 [DVD]
昭和五十年のブラックホール第3惑星人。本多猪四郎が監督した最後の映画でもありゴジラ映画でもある。はじめて中野昭慶とタッグを組んだ作品だが緻密で計算された都市破壊（爆破）、避難シーンの合成が映画の雰囲気と自然に溶け合っていて実に見事。また、群衆避難場面をはじめ伊福部節なども復活、（福田監督作品にはなかった）災害としての怪獣像が重々しい雰囲気を漂わせている。浮き沈みの激しかった昭和ゴジラ映画だったが、最後にしては中々おもしろい作品として仕上がっていた。
鑑賞日：03月02日 監督：本多猪四郎

　先月は特に印象に残った作品はこれといってなかった。頭に食い込むほどに鋭利な作品はなく、安心して見ることのできる作品が多かったように思う。ほとんど資料集めのために見ていたようなものなので、こちら側の鑑賞態度がダメだったのかもしれない、とも思う。

　本当は銀魂もいれたかったけど、レビューの整理ができてないので今回は見送り。あのアニメは幽霊旅館編や吉原炎上篇などのシリアスど真ん中を走る作品からRPG篇のようにメタで技巧を凝らした作品が揃った素晴らしい作品だった。いずれ傑作選をつくってレビューをまとめたい。

2014年3月の読書メーター
読んだ本の数：9冊
読んだページ数：3022ページ
ナイス数：30ナイス

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)の感想
全体主義が失敗し鉄のカーテンの向こう側が未だはっきりしていなかった1949年に刊行された1984年の管理社会。 冷戦を模したような世界情勢の下でぐるぐる回り続ける戦時経済、トロツキズムの亡霊が動かす党、その戦時体制への不満を昇華するための五分間憎悪なる政治集会、価値判断の形成を阻止するための歴史改竄、思考停止技術を磨くための新語法等等のガジェットがパズルのように世界を固めている。物語としての価値はさておいて、ガジェット同士の間に隙間が見えない世界観が非常の美しい。 過去に支配された狂人ウィストンの哀れなこ
読了日：3月28日 著者：ジョージ・オーウェル
有頂天家族の感想
京都は鴨川沿いに生息する阿呆狸の生態記録。三嶋亭で牛を食い、川床でビールをすする金曜倶楽部、祇園の座敷で交わされる政治談議、下鴨神社に集まる化け狸一家。都の地名と共に描かれる狸と天狗と人間の生き様が面白かった。
読了日：3月26日 著者：森見登美彦
理系クンの感想
文系彼女と理系彼氏のノロケ本。情緒豊かで観察好きで割り切り上手な主人公となんでも自分の専門分野視点に還元しないと気がすまない彼氏とのギャップが楽しい。 どもりがないとかそもそもコミュ障じゃないとか理系あるある本にしてはちょっと違和感があるけど、だからこそリア充になれたんだろうな。死ねばいいのに。
読了日：3月22日 著者：高世えり子
Inside out with Gadgetの感想
シナジー幾何学『Gadget』のスピンオフCG集。
読了日：3月22日 著者：庄野晴彦
メタルギア ソリッド スネークイーター (角川文庫)の感想
『あなたのための物語』から早川に急接近した長谷敏司のMGS3ノベライズ。原作にあった無線のユーモアを取り払い、冷徹な東西諜報合戦と仁義に特化している。意味深舌足らず感のあった台詞（アラモを忘れるな）や グロズニーグラードのマップ設定にさらっと理屈をつけてあるのが中々良かった。コブラ部隊についても各隊員の逸話にまで踏み込んでいて、解説特化だった原作よりも実感がある。原作の雰囲気を大事にした良質なノベライズ。
読了日：3月20日 著者：長谷敏司
ペリリュー・沖縄戦記 (講談社学術文庫)の感想
初の縦深防御攻略となったペリリュー、太平洋戦争中最大の陸戦である沖縄戦に参加した第一海兵の戦記。ペリリューの珊瑚上でひたすら腐り続ける死体、シュガーローフにできた死体山の戦場等等、米軍美化を抑えてひたすら血腥い戦場の様子を語っているのが特徴。ペンチで日本兵の歯を抜き、割けた頭部に石を投げ込む兵士のように連合軍側の残虐行為についても言及している。 
読了日：3月14日 著者：ユージン・スレッジ
MM9の感想
平成版ウルトラQ
読了日：3月12日 著者：山本弘
航空機名鑑 1939~45 (W.W.2イラストレイテッド)の感想
光栄の軍用機名鑑。第二次世界大戦時代の機体を側面図と生産経緯で説明。他の光栄ミニタリーシリーズと同じく生産数、仕様変更にかなりスペースを割いており、スペック重点的な構成なのが印象的。Ju87の爆装バージョンなどは一切省き、一番簡単な装備を掲載しているからシミュゲーの兵器図鑑感覚で読めるが、乗員側の視点がないので戦記好きにはちょっと物語内かもしれない。
読了日：3月6日 著者：
日本兵器総集 太平洋戦争版の感想
昭和52年の戦友会総覧付きの丸別冊。実際に運用した人々が生き生きとしていた頃に書かれたからなのか、小銃から戦艦までかなり丁寧に解説されている。スペックを並べるだけではなく、実際の運用方法や戦歴、建造経緯を詳述してくれるので兵士らの思い入れが伝わってくる。ロンドン軍縮条約を「日本の重巡をこのへんでのさばらせないようにしたいという英米側の魂胆」、伊号四○○を「高度の建造技術は、当時の日本海軍の達した水準の高さを実証するものである」あたりは火傷するような熱さを感じた。
読了日：3月4日 著者：

読書メーター

3月の鑑賞メーター
観たビデオの数：29本
観た鑑賞時間：2415分

銀魂 シーズン其ノ四12 [DVD]
お天気戦争
鑑賞日：03月30日 監督：
南海の花束 [DVD]
歌にも歌われた「南洋航路」を開拓せんと飛行艇を操る男たちの物語。実写と特撮を交えてつくられた飛行艇の姿がひたすら美しい。特に九七式飛行艇が水を切って離着水したり防風の中を突っ切る様子は必見。嵐の中で無理な運行を強要する支所長、その判断を正当化する強引な展開など少なからず国策映画風の色付けがされているが、同じくらいに操縦士達の内面描写に力が入っているため何となく安定感がある。むしろ空戦描写がなくても、これほどの話が創れるのかと感動した。「南海の花束」の意味が明かされるラストは中々切ない。
鑑賞日：03月30日 監督：阿部豊
銀魂 シーズン其ノ四 6 [DVD]
空き巣、ハゲ、死刑囚、カフカ、マグロ漁船、エレベーターパニック
鑑賞日：03月29日 監督：藤田陽一
銀魂 シーズン其ノ四 5(通常版) [DVD]
タマクエ
鑑賞日：03月29日 監督：高松信司
有頂天家族 (The Eccentric Family) 第七巻 (vol.7) (最終巻) [Blu-ray]
仙酔楼騒動
鑑賞日：03月26日 監督：吉原正行
有頂天家族 (The Eccentric Family) 第六巻 (vol.6) [DVD]
捲土重来、偽叡山電車
鑑賞日：03月26日 監督：吉原正行
有頂天家族 (The Eccentric Family) 第五巻 (vol.5) [DVD]
偽衛門選挙
鑑賞日：03月26日 監督：吉原正行
有頂天家族 (The Eccentric Family) 第四巻 (vol.4) [DVD]
銭湯と赤玉先生と矢次郎、父との最後の酒
鑑賞日：03月26日 監督：吉原正行
有頂天家族 (The Eccentric Family) 第一巻 (vol.1) [Blu-ray]
ドラマCD「冬の女神と毛玉たち」
鑑賞日：03月18日 監督：吉原正行
銀魂 シーズン其ノ四 4(通常版) [DVD]
通合戦後編、ドラえもん、ギンタマイキー、手錠回
鑑賞日：03月16日 監督：高松信司
銀魂 シーズン其ノ四 3 [DVD]
通合戦中編
鑑賞日：03月16日 監督：高松信司
銀魂 シーズン其ノ四 2 [DVD]
競馬回、ぐちり屋、寺門通合戦
鑑賞日：03月16日 監督：高松信司
有頂天家族 (The Eccentric Family ) 第三巻 (vol.3) [DVD]
五山送り火と父との思い出、金曜倶楽部と父の最期
鑑賞日：03月15日 監督：吉原正行
有頂天家族 (The Eccentric Family) 第二巻 (vol.2) [DVD]
雷と母様、弁天と納涼船
鑑賞日：03月15日 監督：吉原正行
有頂天家族 (The Eccentric Family) 第一巻 (vol.1) [DVD]
面白きことは良きことなり
鑑賞日：03月15日 監督：吉原正行
とらドラ! Scene1(初回限定版) [DVD]
釘宮が記号化してないってすごいな。 世話焼き夫回、告白回、実乃梨のバイト、盗撮回 
鑑賞日：03月14日 監督：長井龍雪
銀魂 シーズン其ノ四 1(通常版) [DVD]
散髪回、眠れない、QB誕生会
鑑賞日：03月12日 監督：高松信司
怪獣総進撃 [DVD]
昭和四十八年、昭和ゴジラ最後の総力戦。幕締めを予定してつくられただけあって歴代の怪獣がほぼ全て登場、ニューヨークからモスクワにまで又をかけ暴れまわる壮大なつくりになっている。 物語は怪獣大戦争の亜種ともいうべきもので、国連科学委員会とキラーク星人の組織的な対立をメインに据えている。以後の昭和ゴジラが個人同士の人間ドラマに重点を置き、ロングショットによる作戦場面を削っていくことを考えると中々味わい深い。
鑑賞日：03月11日 監督：本多猪四郎
銀魂 シーズン其ノ参 13 [DVD]
ジグゾウ、最終回エヴァパロ
鑑賞日：03月11日 監督：高松信司
銀魂 シーズン其ノ参 12 [DVD]
吉原炎上後編、修行編
鑑賞日：03月11日 監督：
銀魂 シーズン其ノ参 11 [DVD]
吉原炎上中編
鑑賞日：03月11日 監督：高松信司
銀魂 シーズン其ノ参 10 [DVD]
不動産（さん）、近藤の恋人ごっこ、クリスマス二回目、サイコガン、吉原炎上編前編
鑑賞日：03月11日 監督：高松信司
銀魂 シーズン其ノ参 05 [DVD]
竜宮後編、喫煙回
鑑賞日：03月10日 監督：高松信司
銀魂 シーズン其ノ参 04 [DVD]
桂強化月間、からくりの休日、竜宮編前編
鑑賞日：03月10日 監督：藤田陽一
銀魂 シーズン 其ノ参 08 【通常版】 [DVD]
文通後編、対象喪失とペット、旅館編前編、ぎんたまん
鑑賞日：03月05日 監督：藤田陽一
銀魂 シーズン 其ノ参 07 [DVD]
放送コード、文通回
鑑賞日：03月04日 監督：藤田陽一
銀魂 シーズン其ノ参 06 【通常版】 [DVD]
あまんと料亭とかつーら、まだおの回転寿司、モンハン回
鑑賞日：03月04日 監督：藤田陽一
銀魂 シーズン其ノ参 02 [DVD]
真選組動乱後編、サッカー、ヤクザの親の心子知らず
鑑賞日：03月04日 監督：Array,藤田陽一
メカゴジラの逆襲 [DVD]
昭和五十年のブラックホール第3惑星人。本多猪四郎が監督した最後の映画でもありゴジラ映画でもある。はじめて中野昭慶とタッグを組んだ作品だが緻密で計算された都市破壊（爆破）、避難シーンの合成が映画の雰囲気と自然に溶け合っていて実に見事。また、群衆避難場面をはじめ伊福部節なども復活、（福田監督作品にはなかった）災害としての怪獣像が重々しい雰囲気を漂わせている。浮き沈みの激しかった昭和ゴジラ映画だったが、最後にしては中々おもしろい作品として仕上がっていた。
鑑賞日：03月02日 監督：本多猪四郎

▼やったゲーム
METAL GEAR SOLID 3 SUBSISTENCE(初回生産版)
1962年のロシア南部を舞台にした諜報活劇。キューバ危機、トンキン湾事件、フルシチョフ失脚が続いたこの年この世界を一本の線でまとめた設定が不気味。ナム戦を思わせる密林の中、わらわらといる兵士の目を迷彩、麻酔銃、時には変装を駆使して掻い潜るのが楽しかった。オチが突飛なのはいつものことと諦めるべきか。
クリア日：03月20日